京大坂道

京大坂道（きょうおおさかみち）

京大坂道は、京都や大阪と高野山を結ぶ重要な参詣道の一つで、特に高野七口の中でも主要な街道として知られています。この道は、紀の川を渡り、和歌山県橋本市学文路から高野町・極楽橋を経て、高野山の不動坂口に至ります。特に「京大坂道不動坂」という名前は、京大坂道の中でも不動坂と呼ばれる急坂区間を指します。

歴史的背景

京大坂道は、近世以降、参詣者にとってより安全かつ短時間で高野山に到着できるルートとして利用されるようになりました。江戸時代には、参詣者の多数がこの道を選び、各地から集まった信者でにぎわいました。

高野街道にはいくつかの主なルートが存在し、特に京都側の東高野街道が栄えました。ここは多くの古社や名刹が沿道に点在し、特に重要な参詣道とされていました。西高野街道は堺市から始まり、参詣者が船を使って淀川を下り、自由にこの道を通ることができた時代もありました。

京大坂道の特徴

京大坂道は、紀見峠を越えた先で高野山へ向かう重要な道として、多くの信者に利用されてきました。この道は、紀の川を渡るルートとして、江戸時代には特に人気がありました。「紀伊国名所図会」によると、京大坂道を利用する人々の割合は、当時の参詣者の8～9割に達していたと記されています。

道中には宿場町が点在し、江戸時代には多くの商人が往来し賑わっていました。学文路、神谷、河根といった宿場町があり、宿泊や休息の場として重要な役割を果たしていました。

不動坂と女人堂

京大坂道の終点、特に不動坂は約2.7 kmの距離で、高低差は310ｍに達します。ここは京大坂道の最もタフな区間とも言え、1915年に大改修が行われた際に新しい道が整備され、現在は新不動坂が主要なルートとして使われています。これにより旧不動坂は放置され、昔の状態が保存されています。

不動坂口には唯一現存する女人堂があり、ここは女性信者のための宿泊所として使われてきました。女人堂には特有の伝説も残されており、高野山が女人禁制であった頃、女性参詣者はここで祈願や宿泊を行いました。

現在の京大坂道

現在では、京大坂道はハイキングやウォーキングのコースとして人気があります。橋本市や極楽橋駅からアクセスが可能で、気軽に参詣の歴史を感じながら歩くことができます。日本の歴史を感じながら、高野山へ向けての道を辿ることができる貴重な機会です。

沿道のスポットでは、苅萱堂や六地蔵、剃刀岩、しずく岩など、歴史的な名所も点在し、多くの参詣者にとって魅力的な散策エリアとなっています。また、京大坂道は国の史跡に指定されており、平成23年には世界遺産にも登録されるなど、その文化的価値が見受けられます。京大坂道は、高野山を目指す人々にとって重要な道となり、今もなお多くの人々に利用されています。

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