京成バス千葉セントラル印西営業所

京成バス千葉セントラル印西営業所は、千葉県印西市船尾に位置し、主に印西市および白井市の千葉ニュータウンとその周辺地域を営業エリアとするバス営業所です。同営業所は、千葉県白井市神々廻にある白井車庫を管轄下に置いています。この営業所と白井車庫は、過去にはちばレインボーバス株式会社として独立したバス事業を展開しており、さらにその前身は京成電鉄自動車本部の船橋営業所船尾車庫および松戸営業所白井車庫に遡ります。

歴史的背景と沿革

地域のバス輸送の歴史は古く、その起源は戦前の個人事業者にまで遡ります。例えば、現在の神崎線は1927年に白井保四郎氏が船橋周辺で開始した路線に、鎌ヶ谷線は1928年に大江六郎氏が松戸周辺で開始した路線に、そして白井線や木下線は共立乗合自動車（森田祐吉氏経営）による中山～木下線に由来します。これらの路線はその後、京成電鉄によって買収・統合され、同社のバスネットワークの一部となりました。

1998年 6月1日、京成電鉄はバス事業の地域分社化を進め、ちばレインボーバス株式会社が設立されました。これは京成電鉄にとって、ちばフラワーバスに続く2社目の分社化となります。ちばレインボーバスは、京成電鉄船橋営業所（後の京成バス船橋営業所、さらに新都心営業所習志野出張所）の分車庫だった船尾車庫と、松戸営業所の分車庫だった白井車庫を引き継ぎました。設立当初は、引き継いだ路線の効率化を徹底的に図り、短期間に複数回のダイヤ改正を実施しました。2017年 4月1日には、北総交通が運行していた小林線と滝野循環線の運行を引き継いでいます。

そして、2025年 4月1日には、京成グループにおけるバス事業の再編の一環として、ちばレインボーバスは千葉海浜交通、京成バスシステム、および船橋新京成バス習志野営業所と統合され、京成電鉄バスホールディングス傘下の京成バス千葉セントラルの営業所および車庫として新たなスタートを切ることになりました。

営業所と車庫

現在の体制は、印西市船尾にある印西営業所（船尾車庫）と、白井市神々廻にある白井車庫の二つの拠点から成り立ちます。印西営業所は、ちばレインボーバス時代には本社を併設しており、「本社営業所」と呼ばれていました。船尾車庫の名称は、京成電鉄時代の船橋営業所船尾車庫から引き継がれたものです。一方、白井車庫は、ちばレインボーバス時代も京成電鉄松戸営業所時代も同じ名称で呼ばれていました。白井車庫は主に白井線、鎌ヶ谷線、西白井線、法典線といった路線を担当しています。両車庫に所属する車両のナンバープレートはすべて習志野ナンバーです。

現在の主な運行路線

印西営業所（船尾車庫）は、神崎線、高花線、千葉ニュータウン中央駅を発着する複数の循環線や西の原線、印西牧の原駅発着の小林線や滝野循環線、さらには印旛学園線、緑が丘西線、鹿黒循環線などを担当しています。神崎線は津田沼駅と木下駅を結ぶ歴史ある長距離路線ですが、現在は船尾車庫で系統が分割されています。高花線は千葉ニュータウン中央駅から高花団地へのアクセスを担い、比較的運行頻度が高い路線です。季節運行の白井聖地公園線や、JRAレース開催日に運行される中山競馬場線（臨時）もあります。また、印西市のコミュニティバス「ふれあいバス」や、秀明大学、フコク生命、藤ヶ谷カントリークラブなどの契約送迎バスも運行しています。

白井車庫は、西船橋駅と白井車庫を結ぶ白井線、五香駅や新鎌ヶ谷駅方面からの六高台線、下総航空基地線、しいの木台線（これらは旧鎌ヶ谷線を再編したもの）、新鎌ヶ谷駅方面からの西白井線、馬込沢駅と桐畑や法典公園グラスポを結ぶ法典線などを担当しています。白井線は西船橋駅から木下街道を経由する主要路線ですが、近年は渋滞による遅延が課題となっています。法典線は地域住民の要望に応える形で開設された背景を持ちます。白井市コミュニティバス「ナッシー号」や鎌ケ谷市コミュニティバス「ききょう号」の一部系統も白井車庫が運行しています。

白井線や船尾車庫担当の神崎線の一部区間は、船橋新京成バスの路線と重複していますが、特別な企画乗車券を除いて共通乗車制度はありません。

過去の路線

過去には、船尾車庫担当のアウトレット線（酒々井プレミアム・アウトレットへの路線）や、東京電機大学千葉ニュータウンキャンパスへのスクールバス・臨時バスなどが運行されていましたが、利用状況や大学キャンパスの移転などにより廃止されました。白井車庫担当では、白井駅と木下駅を結ぶ木下線が、戦前からの歴史を持つ路線でしたが、利用者減少による赤字が続き、コミュニティバスによる代替が可能となったことから2009年に廃止されています。

車両について

車両については、京成電鉄時代は車庫ごとに主要メーカーが異なっていましたが、分社後もその傾向が引き継がれました。しかし、近年は日野自動車製の車両が主流となり、2019年以降の新車は日野に統一されています。また、京成グループ内の再編等に伴い、京成バスや東京ベイシティ交通などからの移籍車も導入されており、いすゞ自動車製の車両も見られます。印西市は自動車NOx・PM法の規制区域外であるため、他の京成グループ会社に比べて車両の長期使用が見られる傾向にあります。ノンステップバスの導入も進められ、バリアフリー化が進んでいます。

車庫による車両構成の特徴として、千葉ニュータウン内の幹線ルートを多く抱える船尾車庫には大型車が多く配置され、かつては3扉車なども存在しました。一方、白井車庫では分社後に中型車や小型車の比率が高まり、現在は日野レインボーや日野ポンチョなどが中心です。

車両のカラーリングは、当初は京成電鉄のカラーリングを維持していましたが、後に空色と虹をイメージした「レインボーカラー」に順次塗り替えられました。近年導入された車両では、より濃い青色に英字ロゴのデザインが採用されています。また、移籍車の中には京成バス時代のカラーリングを維持したまま運用されている車両もあります。

車両の社番は数字3桁で、メーカーによって番号帯が区分されています。京成バスからの移籍車には、京成時代の社番の一部を残している車両も存在します。行先表示は、かつての幕式からLED式へと移行し、視認性が向上しています。

（注記：2025年 4月1日の京成バス千葉セントラルへの統合は予定であり、本文中の記述はそれに沿ったものです）

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