京極高豊

京極高豊：芸術と政治に秀でた丸亀藩主の生涯

京極高豊は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した、讃岐国丸亀藩の第2代藩主です。播磨龍野藩主京極高和の次男として誕生し、家督を継承した後、丸亀藩の発展に大きく貢献しました。

華麗な文化活動

高豊は幼少期から恵まれた環境で育ち、芸術的な才能を開花させました。延宝2年（1674年）、江戸の屋敷に、狩野派の絵師である田中八兵衛に依頼し、鳳凰や牡丹などを描いた豪華な屏風絵を制作させました。その屏風絵を基に、京焼の名工、野々村仁清に壺を発注した記録が残っており、高豊の芸術への深い造詣と、仁清窯との関わりを示しています。

また、貞享5年（1688年）には、丸亀城下町近くに壮大な庭園「万象園」を築きました。琵琶湖を模した池を中心とし、近江八景を配したこの庭園は、現在でも高く評価されており、日本三大海浜庭園の一つに数えられています。

政治手腕と菩提寺の復興

高豊は、文化活動のみならず、政治面でも手腕を発揮しました。寛文4年（1664年）には所領の加増を受け、その一部を義兄に譲るなど、家臣への配慮も見られました。寛文12年（1672年）には、京極家歴代の菩提寺であった近江清滝寺を復興し、徳源院と改名しました。境内には三重塔を建立し、歴代藩主の墓を整備するなど、先祖への敬意と家系の歴史を重んじる姿勢を示しています。この三重塔は、現在も滋賀県の指定文化財に指定されています。

家族と領地拡大

高豊は、土佐藩主山内豊昌の娘を正室に迎え、側室との間にも多くの子供をもうけました。その中でも、五男の高或が後を継ぎ、四男の高通は1万石を分知されて多度津藩の初代藩主となりました。高豊の娘たちは、有力大名家の妻となり、京極家の繁栄に貢献しました。また、高豊の継室は福岡藩黒田家の縁戚であり、このつながりが、のちに多度津京極家から黒田家に養子が迎えられるという出来事に繋がります。これは京極家と黒田家の親密な関係を示す重要な出来事と言えるでしょう。

死と評価

元禄7年（1694年）、江戸からの帰国途中に天然痘を患い、40歳の若さで亡くなりました。

『土芥寇讎記』では、高豊は温和で学識があり、家臣たちをよく理解していた人物として描かれています。相撲好きであったものの、それを自制したエピソードも伝えられています。

まとめ

京極高豊は、文化人としての顔と、藩主としての政治手腕の両面を兼ね備えた人物でした。芸術への造詣の深さ、壮大な庭園の造営、菩提寺の復興、そして家臣への配慮など、様々な側面から、その優れた能力と人格の一端を垣間見ることができます。彼の功績は、丸亀藩のみならず、近江や播磨地域にも及んでおり、江戸時代中期における重要な藩主の一人として、その名は歴史に刻まれています。 高豊の生涯は、単なる藩主の物語ではなく、当時の社会状況や文化、そして人間模様を映し出す、貴重な歴史資料となっています。その輝かしい功績と生涯は、後世の人々に深く記憶されるに値するでしょう。

もう一度検索