京王吉祥寺駅ビル

京王吉祥寺駅ビルの歴史と変遷

京王吉祥寺駅ビルは、東京都武蔵野市吉祥寺南町に位置する駅ビルです。京王電鉄井の頭線、JR中央線、そして駅ビル「アトレ吉祥寺」と直結しており、吉祥寺駅の南口に位置する重要な商業施設となっています。

ターミナルエコー時代

1960年代、吉祥寺駅南口の旧多摩青果市場跡地を富士ビルディング株式会社が取得し、ショッピングビルの建設を計画しました。その後、中央線の高架化に合わせて京王帝都電鉄と提携し、国鉄の余剰地も買収してビルを建設することになりました。

1970年11月、地上8階・地下1階のテナントビル「ターミナルエコー」（Terminal ECHO、ビル名称：吉祥寺エコービル）が開業しました。高層階には専門店やレストランが入り、屋上には遊戯施設、夏季にはビアガーデンも設けられていました。しかし、駅直結という好立地にもかかわらず、駅周辺からのアクセスが不便であったり、競合する商業施設の開業が相次いだため、経営は苦戦を強いられました。1970年代中・後期には、ビル側の家賃値上げに反発したテナントが相次いで退去し、ビルの大半が長期間にわたり空の状態となっていました。

1980年代後期までは、地下1階で食品スーパーのシヅオカヤが営業を続け、一部フロアはゲームセンターとして細々と営業していました。

ユザワヤの開店から京王電鉄所有へ

1995年、ターミナルエコー跡に手芸・ホビー用品専門店「ユザワヤ」の出店が決定しました。1996年5月1日には、当時最大級の店舗であるユザワヤ吉祥寺店がオープンしました。ユザワヤの出店により、長らく閉鎖されていた2階連絡口も再開され、地下1階はユザワヤの玩具売場となりました。ユザワヤ吉祥寺店は、延べ9,780m2の売り場面積を誇り、手芸ファンやラジコン愛好家に重宝され、ユザワヤのブランドを全国に広めるきっかけとなりました。

2003年3月20日には、駅直結の専門店フロア「京王クラウン街吉祥寺」が「フレンテ吉祥寺」としてリニューアルオープンしました。2004年8月6日には、地下1階に京王グループの啓文堂書店がオープンしました。同年9月30日には、京王電鉄が約120億円で全館を取得し、ビル名称を京王吉祥寺駅ビルに改称しました。ユザワヤは引き続きテナントとして入居し、京王電鉄が駅ビルを所有する形となりました。

2009年には、ビル完成から40年が経過し老朽化が著しくなったため、翌2010年から改築工事が開始されました。

ユザワヤの閉店と駅ビル改築

改築工事開始時、京王吉祥寺駅ビルには、地上1階から8階にユザワヤ、下層階にフレンテ吉祥寺、地下1階に啓文堂書店が入居していました。旧駅ビル時代には、井の頭線吉祥寺駅の構造が特殊で、3階が改札・ホーム、2階が券売機が設置された吹き抜けの広場となっていました。この広場はJRの公園口改札やアトレ吉祥寺に直結していましたが、構造が複雑で、JRと京王の券売機が並んでいるため、切符の誤購入も頻発していました。

ユザワヤは2010年2月28日に閉店し、丸井吉祥寺店に移転しました。啓文堂書店も同年3月15日に閉店し、丸井に移転しました。フレンテ吉祥寺は同年3月31日をもって閉業しました。工事期間中は、2階と3階の一部を除き、すべてのフロアが閉鎖されました。

ユザワヤ時代の屋上には、ユザワヤのラジコンサーキット場があり、マスコットキャラクターである金色のクマ「ゆう太」の像が設置されていました。この像はテレビ番組でも紹介されましたが、移転後の行き先が決まらず、最終的にはビル解体時に撤去されました。

京王電鉄は、駅南口周辺の再開発と連携し、旧駅ビルを2010年秋から解体、改築工事に着手しました。同時期に吉祥寺ロンロンも閉店し、一部が「アトレ吉祥寺」として生まれ変わりました。アトレはリニューアル工事を終え、2010年9月21日に全面開業しました。

井の頭線高架橋の改築工事は2011年春に完了し、ホームや壁面がリニューアルされました。2010年3月31日のフレンテ吉祥寺閉業時のテナントには、カレーショップC&C、スイーツモード、リモーネ、フラワーショップ京王、京王観光、ベーカリー&カフェ ルパ、スターバックスコーヒーなどがありました。

新駅ビルの完成、キラリナ京王吉祥寺開業

新しく建設された京王吉祥寺駅ビルは、2014年4月に完成し、同年4月23日に商業施設「キラリナ京王吉祥寺」として開業しました。新駅ビルは、地上10階・地下2階建て、延床面積28,000m2と、旧駅ビルよりも大幅に拡大しました。テナントとしては、ユザワヤ吉祥寺店が丸井から再移転したほか、啓文堂書店も再出店しました。現在のユザワヤ吉祥寺店は、3代目となり、以前より規模は小さくなりましたが、現在もユザワヤの主要店舗として重要な役割を果たしています。

かつてユザワヤや啓文堂書店があった地下フロアには、現在は京王ストア運営の食品スーパー「キッチンコート」と、100円ショップの「ザ・ダイソー」が入居しており、シヅオカヤ以来の食品スーパーが復活しました。

キラリナ京王吉祥寺のフロア構成

キラリナ京王吉祥寺のフロア構成については、公式サイトをご参照ください。

京王井の頭線吉祥寺駅の構造

3階：京王井の頭線改札口、1・2番ホーム、駅事務所、コンコース、自動券売機、定期券売場
2階：JR中央線吉祥寺駅公園口（南口）及び、アトレに直結
1階：南北自由通路

駅ビルが登場する作品

京王吉祥寺駅ビル、特に旧駅ビル「ターミナルエコー」は、以下の作品に登場しています。

『ろくでなしBLUES』：吉祥寺を舞台にした学園漫画で、エコービルが描かれています。
『GTO』：吉祥寺を舞台にした学園漫画で、ユザワヤ時代のビルが登場します。
『真・女神転生』：物語序盤の舞台である吉祥寺で、魔物が登場するビルとしてエコービルが登場します。

関連情報

京王電鉄
ユザワヤ
京王百貨店
京王ストア
京王食品
京王書籍販売
京王クラウン街
吉祥寺ロンロン（現：アトレ吉祥寺）
長尾寧音（キラリナ京王吉祥寺のイメージモデル）

外部リンク

キラリナ京王吉祥寺 公式サイト
キラリナ京王吉祥寺 Facebook
* キラリナ京王吉祥寺 Instagram

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