京王観光

京王観光株式会社

京王観光株式会社は、東京都多摩市に本社を構える京王グループの旅行会社です。旅行業と保険業を主な事業とし、日本旅行業協会や国際航空運送協会の会員でもあります。

概要

1953年に株式会社京王帝都観光協会として設立され、その後、桜菊観光株式会社との合併を経て現在に至ります。かつては京王電鉄の駅売店も運営していましたが、2005年に分社化し、現在は旅行事業と保険事業を二本柱としています。

旅行事業では、国内旅行、海外旅行、訪日外国人旅行の斡旋のほか、募集型企画旅行「キングツアー」を主催しています。また、航空券や鉄道・船舶の乗車券の発券、旅行傷害保険の取り扱いなど、旅行に関連する業務を幅広く行っています。

保険事業では、損害保険（自動車保険、火災保険、傷害保険など）と生命保険の代理店業務を行っています。

かつては個人旅行客向けの店舗と団体旅行を扱う支店がありましたが、大阪地区での不祥事を受け、個人向け店舗を大幅に縮小し、現在は団体旅行に注力しています。

沿革

1953年:
6月11日 - 桜菊観光株式会社が設立（京王観光の設立日となる）。
6月24日 - 株式会社京王帝都観光協会を設立。
9月4日 - 旅行業を開始。
1957年: 2月1日 - 京王観光株式会社へ商号変更。
1958年:
4月1日 - 企業組合京帝互助会の事業を継承し、駅売店運営と保険代理店業務を開始。
5月5日 - 多摩動物公園前でレストハウスと駐車場を営業開始。
1960年: 4月7日 - 富士観光開発株式会社を合併し、山中湖畔で観光事業を開始。
1964年: 6月1日 - 日本航空・全日本空輸・日本国内航空の代理店となる。
1965年: 2月22日 - 京王帝都電鉄が桜菊観光株式会社を買収。
1969年: 9月1日 - 桜菊観光と京王観光が合併（逆さ合併）。運輸大臣登録一般第10号、日本旅行業協会加盟及びJR団体手数料交付業者の資格指定を受ける。
1973年: 9月28日 - 国際航空運送協会 (IATA) の代理店として承認を受ける。
1982年: 9月1日 - 両替商の許可を受ける。
1986年:
5月16日 - 京王観光調布ビルが完成。
12月10日 - 京王エージェンシーが設立（広告部門が分社化）。
1993年: 6月12日 - 本社を京王初台駅ビルへ移転。
1996年: 9月27日 - 生命保険代理店業務を開始。
1999年: 8月30日 - 本社を京王初台一丁目ビルへ移転。
2003年: 6月11日 - 会社設立50周年。
2005年: 4月1日 - 京王リテールサービスを設立し、駅売店事業を分社化。
2007年: 4月1日 - 新旅行システム「REX」を稼動開始。
2013年: 6月11日 - 会社設立60周年。
2015年: 4月 - 福岡支店を新設し、九州地区へ進出。
2016年: 9月 - 公式Twitterアカウントを開設。
2018年:
6月11日 - 会社設立65周年。
11月 - 大阪西支店を大阪支店へ統合。
2019年:
4月 - 大阪支店・大阪西支店でのマルス端末不正発券および不正乗車が発覚し、JRグループから契約解除。
2021年: 7月5日 - 本社を京王新宿三丁目ビルから京王初台一丁目ビルへ移転。
2022年:
6月1日 - 個人向けカウンター店舗を大幅に閉鎖することを発表。
6月15日 - 仙川店を閉店。
6月29日 - 社長交代。
9月30日 - 7店舗を一挙閉店。
12月22日 - 本社をせいせきさくらゲートへ移転。

店舗

京王観光の店舗は、京王線沿線を中心に展開しています。かつては京王線沿線外にも店舗がありましたが、現在はほとんどが閉店しています。個人向けのカウンター店舗は、京王電鉄の駅構内または駅ビル・駅ナカ商業施設にあります。

個人向けカウンター店舗

京王電鉄の駅にある店舗は、かつては「○○駅営業所」という名称でしたが、現在は「駅名+店」という名称になっています。

一部店舗では、京王バスの定期券や回数券を取り扱っていました。

現存する店舗 (2023年10月時点)

京王新宿店（京王線新宿駅西口改札前）
聖蹟桜ヶ丘店（聖蹟桜ヶ丘駅西口改札横）

過去に存在した店舗

2022年に閉店した店舗は以下の通りです。

吉祥寺店 (キラリナ京王吉祥寺7階)
千歳烏山店 (千歳烏山駅南口)
つつじヶ丘店 (京王リトナードつつじヶ丘2階)
調布店 (トリエ京王調布サウスゲート1階)
府中店 (ぷらりと京王府中西館2階)
京王八王子店 (京王八王子ショッピングセンター9階)
多摩センター店 (京王多摩センター駅構内)
仙川店 (フレンテ仙川2階) - 2022年6月15日閉店
アトレ吉祥寺営業所 (アトレ吉祥寺2階) - 2020年1月26日閉店
京王橋本駅営業所 (京王相模原線橋本駅構内2階) - 2018年9月27日閉店
南大沢駅営業所 (フレンテ南大沢旧館2階) - 2018年9月26日閉店
高尾駅営業所 (京王高尾線高尾駅構内) - 2016年11月15日閉店

その他、以下の店舗が過去に存在していました。

笹塚駅営業所
明大前駅営業所
下高井戸駅営業所
府中駅営業所
高幡不動駅営業所
京王稲田堤駅営業所
永山駅営業所
渋谷駅営業所
丸井吉祥寺営業所
用賀営業所

旅行事業部

団体旅行を専門に扱う「旅行事業部」は、以下の拠点を有しています。

現存する拠点 (2023年8月時点)

東京第1支店
東京第2支店
グローバルツアーセンター
調布支店
八王子支店
立川支店
神奈川北支店
さいたま支店
札幌支店
仙台支店
関西支店
福岡支店

不祥事

2019年、京王観光は大阪支店と大阪西支店（当時）において、マルス端末を使用した不正発券および不正乗車を行っていたことが発覚しました。この不正行為は支店長の指示によるもので、JRを利用する団体旅行客の客数を過少に申告していました。この問題を受け、JRグループからJR 乗車券類の委託販売停止処分を受けました。

さらに、大阪地区の支店では、社員による横領も発覚しました。これらの不祥事により、京王観光の企業コンプライアンスが問われることとなりました。また、福岡支店でも同様の不正が行われていたことが判明しました。

社内調査の結果、大阪地区の支店は、合併前の桜菊観光時代からの組織文化が維持されていたことが原因の一つとして挙げられました。また、東京本社との連携不足や、人材交流の少なさも不正行為が長期間発覚しなかった要因として指摘されました。

不正発券事件の影響

この事件の影響により、京王観光は本社移転、個人向け店舗の大幅な閉鎖、社長交代などの大規模な事業再編を余儀なくされました。また、信頼を大きく失い、取扱高も大幅に減少しました。