真・女神転生

『真・女神転生』（しん・めがみてんせい）は、アトラスが1992年 10月30日に発売したスーパーファミコン用ゲームソフトです。ファミリーコンピュータ版『デジタル・デビル物語女神転生』シリーズのゲームシステムを継承しつつ、設定を一新して制作されました。現代の東京を舞台にした物語、悪魔との交渉、そして仲間との思想的な決別といった、勧善懲悪ではないハードな作風は、多くのユーザーに支持され、アトラスの看板タイトルである『女神転生』シリーズへと発展しました。また、『ペルソナ』シリーズなどの派生作品も生み出しており、その影響力の大きさが伺えます。

ゲームの特徴

ストーリー

199X年、東京・吉祥寺を舞台に、主人公は不思議な夢を見ます。その夢が示すように、東京には悪魔が出現し始めます。STEVENと名乗る人物から送られてきた「悪魔召喚プログラム」により、主人公は悪魔を使役する力を得ます。やがて、夢で見た少年たちと出会い、人類の命運をかけた神と悪魔の戦いに巻き込まれていくことになります。

設定

1992年当時の近未来である199X年の東京が舞台です。吉祥寺のアーケード街や病院、エコービルなど、1990年代の日本をモデルにしたリアルな風景が描かれています。当時のRPG市場では珍しい現代的な舞台設定は、多くのユーザーを惹きつけました。

ゲームシステム

悪魔との会話による仲魔システムや、悪魔合体システムは、ファミリーコンピュータ版から継承され、さらに発展しています。前作では仲魔にできなかった「魔王」や「邪神」といった属性の悪魔も、条件次第で仲魔にできるようになりました。また、本作ではシリーズで初めてオートマッピングシステムが導入され、ダンジョン探索がより快適になりました。

悪魔会話

戦闘中に悪魔と会話をし、交渉することで仲魔にすることができます。会話は「友好的」か「威圧的」な態度を選択し、悪魔の性格に合わせて選択肢を選ぶことで交渉を進めます。悪魔が要求するお金やアイテムを渡したり、悪魔の機嫌を損ねないように会話を進めることで、仲魔にすることができます。ただし、悪魔の属性や主人公の属性によっては、会話が成立しないこともあります。

悪魔合体

「邪教の館」では、仲魔にした悪魔同士を合体させ、新たな悪魔を生み出すことができます。本作では、特定の悪魔と剣を合体させる「剣合体」も登場しました。合体時には、素材となる悪魔が培養槽で分解され、新たな悪魔が魔法陣から出現する演出が施されています。また、会話では仲魔にできないLIGHT属性やDARK属性の悪魔も、合体で仲魔にできます。

魔法とEXTRA

魔法には火炎、氷結、電撃、衝撃の4属性があり、それぞれ弱・強とその複数形の4種類が存在します。また、万能攻撃魔法「メギド」系や、回復魔法、補助魔法など、様々な種類の魔法が使用可能です。悪魔のみが使える「EXTRA」は、前作ではランダムで使用されていましたが、本作からは任意で使用できるようになり、種類も大幅に増加しています。

戦闘

主人公とパートナーが戦闘不能になるとゲームオーバーになります。戦闘不能になった場合は、三途の川を渡る演出の後、タイトル画面に戻ります。

ストーリーの詳細

主人公は、吉祥寺に住む普通の少年。ある日、パソコン通信でSTEVENと名乗る人物から悪魔召喚プログラムを受け取ります。街には悪魔が現れ始め、主人公は、夢で見た二人の少年、そして謎の少女との出会いを通じて、人類の未来をかけた戦いに巻き込まれていきます。

用語解説

メシア教

救世主（メシア）の出現を信じる宗教。秩序を重んじ、法による管理を主張します。教徒は白地に青いラインの入った服装をしています。悪魔との共存を考えるガイア教とは対立しています。

ガイア教

秩序や階級を否定し、自然との一体化を重視する宗教。実力至上主義で、悪魔との共生を容認します。口調や物腰は荒々しく、メシア教とは対立しています。

属性

悪魔は「ロウ（Law）」「カオス（Chaos）」「ニュートラル（Neutral）」の思想軸と、「ライト（Light）」「ニュートラル」「ダーク（Dark）」の性格軸の組み合わせで属性が決定されます。主人公の属性は、行動によって変化し、仲魔にできる悪魔やシナリオ、エンディングに影響を与えます。

登場人物

メインキャラクター

ヒーロー：本作の主人公。コンピューターが趣味で、悪魔召喚プログラムを使って戦います。
ヒロイン：主人公の夢に出てくる謎の少女。主人公と深い因縁で結ばれています。
ロウヒーロー：主人公の幼なじみ。神に生贄として磔にされていましたが、後にメシア教の司祭として蘇ります。
カオスヒーロー：主人公の幼なじみ。絶対的な力を求め、悪魔と合体して戦います。

サブキャラクター

ゆりこ（りえ）：主人公の夢に現れる妖艶な女性。その正体はリリスです。
STEVEN：悪魔召喚プログラムの開発者。車椅子の男性です。
ゴトウ：クーデターを起こした自衛官。悪魔と契約し、東京を支配します。
トールマン：アメリカ合衆国大使。その正体は北欧の魔神トールです。
ルイ・サイファー：謎の男性。その正体は魔王ルシファーです。
オザワ：不良グループのリーダー。ゴトウの手下となります。

開発

本作はアトラスと遊企画によって開発されました。プロデューサーは新野洋右、ディレクターは岡田耕始、音楽は増子司、キャラクターデザインは金子一馬が担当しました。当時のコンピュータグラフィックスを意識したポリゴン風の2Dマップと3Dダンジョンが特徴です。

システム

本作では、地上は俯瞰視点の2Dマップ、ダンジョンは主観視点の3Dダンジョンで構成されています。また、シリーズ初のオートマッピングシステムが導入され、探索が快適になりました。

他機種版

本作は、PCエンジン SUPER CD-ROM²、メガCD、PlayStation、ゲームボーイアドバンスなど、様々な機種に移植されています。

PCエンジン SUPER CD-ROM2版

一部イベントシーンにビジュアルシーンが追加され、パスカル関連のイベントが追加されています。

メガCD版

BGMがCD-DAによるアレンジ音楽に変更され、2Dマップの表現方法やカテドラルのマップが変更されています。

PlayStation版

ユーザーインターフェースが『真II』以降のスタイルに変更され、3Dダンジョンがポリゴンで表現されています。また、難易度設定や中断セーブ機能が追加されています。

ゲームボーイアドバンス版

2Dマップがクォータービューに変更され、「ビジョナリーアイテム」が導入されました。

評価

スーパーファミコン版

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、プラチナ殿堂を獲得しました。特に、ゲームシステムや演出面が高く評価されました。

PlayStation版

ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では、シルバー殿堂を獲得しました。

スタッフ

スーパーファミコン版

エグゼクティブプロデューサー：横山秀幸
プロデューサー：新野洋右
プランナー：伊藤龍太郎、藤岡一樹、しまだよしあき
プログラマー：岡田耕始、佐藤雅実、國枝剛、高木秀俊
デザイナー：金子一広、佐藤佐和子、村上哲也、片岡いずみ、高島志郎
ミュージックコンポーザー：増子司
コーポレーテッドプランニング：遊企画

PCエンジン版

プロデューサー：新野洋右
メインプログラム：藤原博之
プログラム：三木暁、よしだけいいち、一ノ関誠
メイングラフィック：吉村清人
グラフィック：赤木広司
サウンド：YMOH.S（崎元仁）、三上直子
ディレクター：岩野宏昭

メガCD版

プロデューサー：町田登
プランナー：宇都浩一
メインプログラマー：沢村芳樹

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