京王1000系電車 (2代)

京王1000系電車

京王1000系電車は、京王電鉄井の頭線で使用されている通勤形電車です。ここでは、井の頭線における列車の進行方向を基準に、東側を「渋谷方」、西側を「吉祥寺方」と呼びます。編成を特定する場合は、吉祥寺方先頭車の車両番号を用いて「1701F」のように表記します。

概要

1996年1月9日に営業運転を開始した京王1000系は、輸送力増強と老朽化した3000系電車の置き換えを目的として導入されました。井の頭線では34年ぶりの新型車両であり、初の20m級車体とVVVFインバータ制御を採用しています。製造は日本車輌製造と東急車輛製造が担当し、5両編成29本、計145両が導入されました。登場時は京王帝都電鉄として最後の新規形式であり、社名が京王電鉄に変更された後も増備が続けられました。

車両概説

車体

3000系と同様にステンレス製ですが、輸送力増強のため、全長は18m級から20m級に拡大され、ドア数も片側3箇所から4箇所に増加しました。これにより乗車定員が増え、天井も約10cm高くなっています。3000系と同様に裾絞り構造で、外板は4次車・1715Fまでビードプレス加工が施されています。車体側面には車外放送スピーカーが設置されています。行先表示器はLED式でローマ字が併記されていますが、初期の車両ではローマ字表記と各駅停車の種別表示がありませんでした。運行番号表示器は当初、前面左上部に設置されていましたが、後に中央左端（車掌台側）に移設されました。

先頭形状は3000系更新車と共通イメージですが、非常用貫通扉が新たに設置され、助士席側に寄せられています。この部分の塗装は編成ごとに異なるパステルカラー7色で塗り分けられています。前面行先表示器周りのデザインは、3000系の前照灯のイメージを残しつつ、車体四隅の灯火類やパノラミックウィンドウは初代5000系を意識した形状・配置となっています。

2008年度導入車からは、妻面窓や側面のビードプレスが廃止され、行先表示器がフルカラーLED化されるなどの変更が加えられています。パンタグラフは全編成とも3基搭載されており、初期編成では菱形でしたが、後にシングルアーム式に統一されました。屋根上には集中式冷房装置とラインデリアが設置されています。

内装

車内はロングシートで、各ドア上には車内案内表示装置とドアチャイムが設置されています。

乗務員室

井の頭線車両初のワンハンドル式主幹制御器と、京王の車両では初の電子警笛が装備されました。初期車は低運転台構造でしたが、後に高運転台構造に変更されています。

機器類

京王1000系は井の頭線初のVVVFインバータ制御車両です。初期編成は軽量車体に大出力モーターを搭載し、MT比2M3Tを実現しましたが、後に3M2Tに変更されました。これは、雨天時の空転や滑走が多発したためで、対策としてセラジェット噴射装置が搭載されました。

VVVFインバータ制御装置の制御素子は編成によって異なり、東洋電機製造製や日立製作所製のものが使用されています。2011年には、東洋電機製造の狭軌用全閉内扇形主電動機が試験的に搭載されました。

朝ラッシュ時の使用を想定した定速制御機能も搭載されていますが、井の頭線内では加減速が頻繁なため、使用頻度は少ないです。

塗装

編成ごとに異なるパステルカラーが採用されており、編成番号と車体色の対応には規則性があります。1721F以降はベージュがオレンジベージュに変更され、一部編成もこれに準じて変更されました。

特別ラッピング車両

1729Fは、2012年10月3日から井の頭線のイメージカラーであるレインボーカラーのラインと沿線の名所をデザインしたラッピング車両として運行されました。車内には液晶ディスプレイが設置され、ニュース番組や沿線紹介番組が放映されました。

次車別解説

1・2次車 (1701F - 1710F)

1995年 - 1998年度製造。内装は8000系に近い仕様で、つり革は丸型が採用されています。

3・4次車 (1711F - 1715F)

2002年 - 2004年度製造。内装は9000系0番台に準じており、側窓ガラスの一部が固定式に変更されています。座席やドアにも変更点があります。

5・6次車 (1721F - 1734F)

2008年 - 2009年度製造。保安装置改良に伴いATCを新造時から搭載。9000系30番台に準じた内装で、UVカットガラスや液晶ディスプレイが採用されています。客用ドアや連結面にも変更点があります。

リニューアル

1・2次車と3・4次車を対象に、2016 - 2020年度にかけてリニューアルが実施されました。3号車の電動車化やVVVFインバータ制御装置の取り替え、内装の更新などが行われています。

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