京福電気鉄道越前本線列車衝突事故

京福電気[[鉄道]]越前本線列車衝突事故：二度の大惨事と鉄道の未来

2000年12月と2001年6月、福井県を走る京福電気[[鉄道]]越前本線（現・えちぜん[[鉄道]]勝山永平寺線）で、立て続けに列車衝突事故が発生しました。これらの事故は、京福電気[[鉄道]]福井鉄道部の廃止と、第三セクター鉄道「えちぜん[[鉄道]]」への移管という、大きな転換点をもたらす契機となりました。

2000年12月17日：ブレーキロッド破断による正面衝突

2000年12月17日午後1時30分頃、永平寺発東古市行きの列車が、ブレーキロッドの破断により制御不能となり、終点駅を通り越し対向列車と正面衝突しました。この事故で運転士1名が殉職、乗客24名が負傷する惨事となりました。

事故調査の結果、ブレーキロッドの溶接部分の不良が原因であることが判明。京福電気[[鉄道]]と、車両整備を担当していたJR西日本テクノスの施工・検査体制に問題があったと指摘されました。特に、老朽化した1928年製の台車を流用していた事故車両のブレーキシステムは、戦前設計の旧式のもので、ブレーキロッド破断により全車輪のブレーキが効かなくなる危険性を孕んでいました。

この事故は、老朽化した車両や設備、安全装置の未設置といった、長年放置されてきた問題点を改めて浮き彫りにしました。運転士は、ブレーキ故障後も乗客の避難誘導に尽力し、最後まで運転席を離れず殉職しました。その献身的な行動は、多くの人々の心を打ちました。国土交通省は、全国の鉄道事業者に対しブレーキシステムの多重化などを指示し、同様の事故防止に動き出しました。

2001年6月24日：運転士のミスとATS未設置による正面衝突

2001年6月24日午後6時頃、越前本線の保田駅-発坂駅間で、上り普通列車と下り急行列車が正面衝突しました。この事故では、乗員乗客25名が負傷しました。

事故原因は、上り列車の運転士が列車交換ダイヤを忘れ、信号を確認せずに発車したヒューマンエラーでした。自動列車停止装置（ATS）が未設置であったことも、事故を拡大させた要因の一つとして挙げられました。1970年代に無人駅化と自動信号化が行われた際、完全な自動閉塞やATSの導入が遅れたことが、運転士の負担を大きくしていたのです。

運転士は業務上過失往来危険罪で逮捕・起訴され、有罪判決を受けました。この事故は、人為的ミスと安全装置の不足が重なった結果であるとされました。一部報道では、タブレット閉塞の廃止も事故の一因とする見方もありました。

事故後の展開とえちぜん[[鉄道]]への移管

2度の重大事故を受け、国土交通省は京福電気[[鉄道]]福井鉄道部に対し、全線運行停止と事業改善命令を出しました。しかし、長年続く赤字経営と老朽化、さらには資金不足により、京福電気[[鉄道]]は福井鉄道部の営業継続を断念。2001年10月、全線の廃止届を提出しました。

バス代行輸送が開始されましたが、鉄道に比べて不便なバス輸送は、沿線の交通渋滞を招き、地域社会に大きな影響を与えました。この事態は、「負の社会実験」として認識され、鉄道の公共性と重要性が改めて問われることとなりました。

その後、福井県と沿線市町村が出資する第三セクター「えちぜん[[鉄道]]」が設立され、京福電気[[鉄道]]福井鉄道部の路線を引き継ぎました。2003年にはえちぜん[[鉄道]]勝山永平寺線として部分開業、同年10月には全線開業を果たしました。一方、利用者の少なかった永平寺線は廃線となりました。

これらの事故は、日本の地方鉄道が抱える課題を浮き彫りにし、老朽化した設備の更新、安全対策の強化、そして地域交通のあり方について、改めて考えるきっかけとなりました。映画『えちてつ物語〜わたし、故郷に帰ってきました。』は、この事故を題材に、地域の人々の思いを描いています。

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