京都五山

京都五山とは

京都五山とは、臨済宗の寺院における寺格の一つで、別格とされる南禅寺と合わせて定められた、京都にある五つの禅寺を指します。この制度は鎌倉時代末期に創設されましたが、その具体的な寺院構成が確定したのは室町時代、足利義満の時代になってからです。

歴史

起源

五山制度の起源は、南宋時代の寧宗の時代に、インドの五精舎十塔に倣って創設されたものとされています。鎌倉幕府は、既存の宗派勢力に対抗するために、新興の臨済宗を保護する政策を採りました。幕府は、政争や戦乱で獲得した荘園や領地を御家人に分け与える一方で、一部を寺社領とし、幕府の領地を含めたその管理を禅寺に委ねていました。

五山制度の確立

鎌倉末期に始まった五山制度については、不明な点が多く、最初に五山と称されていた寺院についても諸説あります。一説によると、当初は鎌倉の禅寺のみが五山とされていたとされています。その後、建武の新政を経て、京都の大徳寺と南禅寺が五山の第一位とされ、建仁寺や東福寺などの寺院が五山に加えられるようになりました。暦応4年（1341年）には、足利直義の評定により、建長寺（鎌倉）と南禅寺（京都）が第一位、円覚寺（鎌倉）と天龍寺（京都）が第二位と定められました。

しかし、鎌倉時代の創設当初は、鎌倉と京都で合わせて五つの寺を五山に定めていたとする説もあります。小此木輝之は、鎌倉時代の五山を建長寺、円覚寺、寿福寺、建仁寺（京都）、浄智寺と推定しています。また、足利義詮が将軍職にあった時期にも、五山の変動が見られました。

足利義満による確定

室町時代の足利義満は、至徳3年（1386年）に南禅寺を別格とし、その上で京都の天竜寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺と、鎌倉の建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺をそれぞれ五山に決定しました。これが、その後の五山制度の根幹となりました。

五山十刹

「五山十刹」という場合、別格の南禅寺を筆頭に、天竜寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺の「五山」と、等時寺、臨川寺、真如寺、安国寺、宝幢寺、普門寺、広覚寺、妙光寺、大徳寺、龍翔寺の「十刹」の総称を指します。

室町幕府との関係

室町幕府は、五山禅寺に対して不入権や諸役免除などの特権を与え、五山禅寺は幕府の事務代行や上納金などの財務支援を行いました。五山の禅僧には、宗教活動を行う西班衆と、寺院の経理や荘園の管理を担う東班衆がいました。幕府との関係が近い五山禅寺は、朝廷との関係が近い比叡山延暦寺や南都興福寺と対立関係にありました。五山禅寺は、幕府の訴訟制度や対中貿易などを通じて勢力を拡大していきました。

応仁の乱の影響

しかし、応仁の乱によって各寺院は壊滅的な被害を受け、東班衆の基盤が失われました。また、地方では守護大名の力が強まり、五山の荘園管理は困難になり、関所の自由通過権なども失われました。東班衆が去った荘園では、守護大名が国人に管理させる守護請が多くなりました。さらに、五山勢力が去った北陸地方には、一向宗の勢力が進出し、新たな拠点を築きました。

京都五山の寺格

京都五山の寺格は以下の通りです。

南禅寺 - 別格
天龍寺 - 第一位
相国寺 - 第二位
建仁寺 - 第三位
東福寺 - 第四位
万寿寺 - 第五位

なお、足利義満の意向により、一時的に相国寺が第一位、天龍寺が第二位となった時期もありましたが、義満の死後に元の順位に戻されました。

京都五山に関する注意点

今日では、京都五山は京都の禅寺の格付けと誤解されがちですが、これは正しくありません。京都五山はあくまで足利氏の政治的な格付けであり、大徳寺は同じ理由で格を下げられ、後に五山制度から脱却しました。また、妙心寺は、大内義弘を支持したことが原因で足利義満の怒りを買い、寺領を没収されました。再興を果たしたのは江戸時代になってからです。

出典

Wikipedia「京都五山」

関連項目

鎌倉五山
尼五山
天竺五精舎
日本の仏教
五山文学
五山碩学
足利義昭
* 日本の寺院一覧

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