京都電燈テキ6形電気機関車

京都電燈テキ6形電気機関車とその関連形式

概要

京都電燈福井支社越前電気鉄道部（現在のえちぜん鉄道の前身）は、福井県内の電力事業と並行して電気鉄道事業を展開していました。その事業の中核を担っていたのが、本稿で解説するテキ6形電気機関車とその関連形式です。軸配置Bの小型電気機関車で、箱型の木造車体を持ち、1920年から1936年にかけて計6両が製造されました。本稿では、テキ6形に加え、姉妹形式であるテキ7形、増備車であるテキ10形、そして火災による代替新造車であるテキ20形についても詳細に記述します。

製造経緯と車両形式

京都電燈は福井県における電力事業を拡大する中で、余剰電力の有効活用策として電気鉄道事業に着目しました。県や地元からの要請・資金援助も得て、福井-勝山-大野間電気鉄道の建設に着手、1914年に越前電気鉄道線を開業しました。輸送需要の増加に伴い、1920年にテキ6形（テキ6）とテキ7形（テキ7～テキ9）の計4両が梅鉢鉄工場で製造されました。これらの機関車は、ほぼ同形の木造箱形車体を有する小型電気機関車でしたが、搭載機器に違いがあったため、別形式とされました。

その後、1923年には増備車としてテキ10形（テキ10、テキ11）が2両製造されました。テキ10形はテキ6形と同一の機器を搭載していました。1935年に発生した福井口車庫の火災でテキ8が焼失したため、代替としてテキ20形（テキ20）が1936年に加藤車輛製作所で製造されました。テキ20形は半鋼製車体で、他の形式とは異なる設計が取り入れられました。

車体と主要機器

テキ6形～テキ10形は木造車体、テキ20形は半鋼製車体で、車体長は6398mm。側面中央に大きな両開き扉と側窓を備え、妻面は丸妻で屋根が突き出した形状です。前照灯は筒型の灯具で、妻面中央窓下に着脱式で取り付けられていました。車内は運転台と機器室が仕切られておらず、一室構成で、主抵抗器や電動空気圧縮器などが搭載されていました。テキ20形では戸袋窓が通風口となり、窓の形状も変更されています。

制御器は、テキ6形・テキ10形がゼネラル・エレクトリック製K-38、テキ7形・テキ20形が東洋電機製造製DB-3を搭載。いずれも直接制御器でした。主電動機は、4形式ともゼネラル・エレクトリック製GE-281-B直流直巻整流子電動機を2基搭載。台車はJ.G.ブリル製21E 2軸単台車を装着し、集電装置は前後各1基のトロリーポール（Yゲル）を使用していました。ブレーキは直通ブレーキと手ブレーキを併設。空気圧縮器は車体中央に搭載されていました。連結器は初期は連環螺旋連結器でしたが、1926年に自動連結器に改造されました。

運用と保存

竣工以来、テキ6形～テキ7形は越前電気鉄道線、そして京福電気鉄道福井支社越前本線で主力として活躍しました。しかし、1930年代中盤以降、輸送需要の増大や車庫火災の影響で、より大型の機関車が導入されるようになりました。1945年の福井空襲ではテキ10形2両が被災し廃車となりました。

1953年には越前本線の架線方式変更に伴い、集電装置の改造が行われ、1958年には貨物牽引運用が終了。その後は入れ替え機や永平寺線での運用に転用されました。1965年にはテキ6・テキ7・テキ9の木造車体が半鋼製車体に更新されました。1969年の永平寺線廃止、1974年の越前本線廃止に伴い、テキ7、テキ9が廃車となりました。テキ20形も1975年に老朽化で廃車となりました。

最後まで残ったテキ6は、構内入換機として使用され続け、1999年に車籍復活、ML6形ML6と改称されました。2002年にえちぜん鉄道へ移管されましたが、2003年に再び除籍されました。現在は勝山駅前にて、動態保存されています。

参考文献

本稿の作成にあたり、数多くの文献資料を参照しました。それらの文献は、鉄道雑誌や書籍など多岐に渡り、テキ6形電気機関車に関する詳細な情報、歴史的背景、技術的特徴などが網羅されています。特に、それぞれの文献の記述を比較検討することで、正確な情報を提供することに努めました。これらの文献は、本稿の脚注に詳細に記載しています。

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