京都駅前地下街ポルタ
京都ポルタ（旧称：京都駅前地下街ポルタ）は、京都府京都市下京区に位置する、JR京都駅に直結した大型地下街です。1980年11月27日に開業し、京都において初めて本格的に開発された地下商業施設として歴史的な意義を持ちます。
JR西日本グループの一員であるJR西日本京都SC開発株式会社が管理・運営を担っており、関西地方有数の交通結節点である京都駅の北側、烏丸口の地下空間を活用しています。1997年に竣工した新しい京都駅ビル内にも「京都駅ビル専門店街 ザ・キューブ」という地下商業施設が存在しますが、ポルタとザ・キューブは連絡通路を通じて相互に行き来が可能であり、また、駅直結の百貨店であるJR京都伊勢丹とも接続しており、駅周辺の主要な商業・交通施設と一体的に機能しています。
施設内部は、京都市営地下鉄烏丸線の改札口を挟む形で、店舗が東西両方向に展開しています。特に烏丸口バスターミナルの直下に位置しているため、各バス乗り場へ直接アクセスできる階段が多数設けられており、バス利用者にとって非常に利便性の高い構造となっています。
ポルタは開業以来何度か改装を行っており、特に2014年3月20日の大規模リニューアルでは、従来の男性向け衣料品店の区画を縮小または廃止し、代わりに20代後半から30代前半の女性を主要ターゲットとした衣料品や雑貨を中心とする店舗構成へと大きく変更されました。この改装に合わせて、女性専用トイレの拡充なども実施されています。また、京都駅という立地特性から、国内外からの観光客を意識した京都ならではの土産品を取り扱う店舗も多く見られます。
「ポルタ」という施設名称は、開業に先立ち『京都新聞』紙上で約1ヶ月間実施された公募によって集まった約5,700通の応募の中から選ばれました。この名称は、イタリア語で「門」「入口」「玄関」「扉」を意味する「porta」に由来しています。国際的な観光文化都市である京都の玄関口たる京都駅にふさわしい施設となることを願って命名されたものです。興味深いことに、ほぼ同時期にあたる1980年11月7日には、横浜駅東口にも同名の地下街「横浜ポルタ」が開業していますが、こちらも横浜の「玄関口」としての命名であり、全くの偶然によって同じ名称になったとされています。
ポルタの建設は、1960年代後半から1970年代にかけての社会状況と深く関連しています。この時期、モータリゼーションの急速な進展は、歴史的な街並みを大切にしてきた京都市内にも多くの自動車をもたらし、「交通戦争」と呼ばれるほどの交通渋滞や事故が頻発していました。自動車中心の社会構造へのシフトと京都市電の廃止政策（1978年9月30日廃止）が進行する中で、世界的な観光都市でありながら空港や港を持たない京都にとって、京都駅は唯一にして最大の「玄関口」であり、国鉄（現在のJR）をはじめとする公共交通機関が集約されていました。しかし、増加する自動車と歩行者の交通が駅前広場で錯綜し、その機能は低下していました。
また当時の京都駅前には、地元の老舗百貨店「丸物」本店（後の京都近鉄百貨店）、駅構内の「京都駅観光デパート」（現在のザ・キューブの一部）程度の商業施設しかなく、京都市の中心市街地である四条河原町などから離れていたため、駅前という一等地でありながらも商業地としての求心力に欠けていました。特に丸物本店は、多店舗展開の失敗に加え、こうした周辺整備の遅れも影響し、大丸や髙島屋といった他店に比べて業績が伸び悩む状況にあり、1966年には近畿日本鉄道の資本を受け入れるに至っていました。
こうした駅前広場の機能低下や商業地の課題を解決するため、京都市営地下鉄烏丸線の開業（1981年5月29日）に合わせて駅前広場を一体的に整備し、その計画の一環として、自動車と歩行者の動線を分離できる地下街を建設する構想が具体化しました。建設にあたっては、当時の丸物本店長や京都近鉄百貨店社長を務めた橋本達吉氏が中心となり、国鉄本社や関係省庁との間で度重なる折衝が行われました。最終的には、当初の目論見とは異なり国鉄（現・JR西日本）が主導する形となりましたが、計画は実現し、市営地下鉄開業に先行して1980年11月27日に地下街「ポルタ」が営業を開始しました。
近年の動きとしては、2023年3月1日にザ・キューブと統合され、正式名称が「京都ポルタ」として新たにスタートしています。京都駅の歴史と共に歩み、その時代ごとのニーズに応えながら進化を続けるポルタは、京都の玄関口にふさわしい賑わいを創出する重要な役割を担っています。
沿革
1974年（昭和49年）- 京都市営地下鉄烏丸線着工
1977年（昭和52年）4月11日 - 京都ステーションセンター株式会社設立
1978年（昭和53年）9月30日 - 京都市電廃止
1980年（昭和55年）11月27日 - ポルタ営業開始
1981年（昭和56年）5月29日 - 京都市営地下鉄烏丸線 京都駅 - 北大路駅間開業
1997年（平成9年）11月21日 - 京都駅ビル開業に合わせた改装実施
2009年（平成21年）3月20日 - 大規模改装実施
2014年（平成26年）3月20日 - 「ザ・キューブ」と共に新装開業。女性向け店舗構成へ変更
2023年（令和 5年）3月1日 - 「ザ・キューブ」と統合し、「京都ポルタ」として新装開業
交通アクセス
鉄道: JR西日本、JR東海、近畿日本鉄道、京都市営地下鉄 各線「京都駅」直結
* 路線バス: 京都市営バス、京都バス、京阪京都交通、京阪バス、西日本JRバス 各社「京都駅」関連バス停直結
京都ポルタは、交通の要衝である京都駅において、多様な店舗と優れたアクセス性を兼ね備えた、京都を訪れる多くの人々にとって欠かせない商業施設として機能しています。
JR西日本グループの一員であるJR西日本京都SC開発株式会社が管理・運営を担っており、関西地方有数の交通結節点である京都駅の北側、烏丸口の地下空間を活用しています。1997年に竣工した新しい京都駅ビル内にも「京都駅ビル専門店街 ザ・キューブ」という地下商業施設が存在しますが、ポルタとザ・キューブは連絡通路を通じて相互に行き来が可能であり、また、駅直結の百貨店であるJR京都伊勢丹とも接続しており、駅周辺の主要な商業・交通施設と一体的に機能しています。
施設内部は、京都市営地下鉄烏丸線の改札口を挟む形で、店舗が東西両方向に展開しています。特に烏丸口バスターミナルの直下に位置しているため、各バス乗り場へ直接アクセスできる階段が多数設けられており、バス利用者にとって非常に利便性の高い構造となっています。
ポルタは開業以来何度か改装を行っており、特に2014年3月20日の大規模リニューアルでは、従来の男性向け衣料品店の区画を縮小または廃止し、代わりに20代後半から30代前半の女性を主要ターゲットとした衣料品や雑貨を中心とする店舗構成へと大きく変更されました。この改装に合わせて、女性専用トイレの拡充なども実施されています。また、京都駅という立地特性から、国内外からの観光客を意識した京都ならではの土産品を取り扱う店舗も多く見られます。
「ポルタ」という施設名称は、開業に先立ち『京都新聞』紙上で約1ヶ月間実施された公募によって集まった約5,700通の応募の中から選ばれました。この名称は、イタリア語で「門」「入口」「玄関」「扉」を意味する「porta」に由来しています。国際的な観光文化都市である京都の玄関口たる京都駅にふさわしい施設となることを願って命名されたものです。興味深いことに、ほぼ同時期にあたる1980年11月7日には、横浜駅東口にも同名の地下街「横浜ポルタ」が開業していますが、こちらも横浜の「玄関口」としての命名であり、全くの偶然によって同じ名称になったとされています。
ポルタの建設は、1960年代後半から1970年代にかけての社会状況と深く関連しています。この時期、モータリゼーションの急速な進展は、歴史的な街並みを大切にしてきた京都市内にも多くの自動車をもたらし、「交通戦争」と呼ばれるほどの交通渋滞や事故が頻発していました。自動車中心の社会構造へのシフトと京都市電の廃止政策（1978年9月30日廃止）が進行する中で、世界的な観光都市でありながら空港や港を持たない京都にとって、京都駅は唯一にして最大の「玄関口」であり、国鉄（現在のJR）をはじめとする公共交通機関が集約されていました。しかし、増加する自動車と歩行者の交通が駅前広場で錯綜し、その機能は低下していました。
また当時の京都駅前には、地元の老舗百貨店「丸物」本店（後の京都近鉄百貨店）、駅構内の「京都駅観光デパート」（現在のザ・キューブの一部）程度の商業施設しかなく、京都市の中心市街地である四条河原町などから離れていたため、駅前という一等地でありながらも商業地としての求心力に欠けていました。特に丸物本店は、多店舗展開の失敗に加え、こうした周辺整備の遅れも影響し、大丸や髙島屋といった他店に比べて業績が伸び悩む状況にあり、1966年には近畿日本鉄道の資本を受け入れるに至っていました。
こうした駅前広場の機能低下や商業地の課題を解決するため、京都市営地下鉄烏丸線の開業（1981年5月29日）に合わせて駅前広場を一体的に整備し、その計画の一環として、自動車と歩行者の動線を分離できる地下街を建設する構想が具体化しました。建設にあたっては、当時の丸物本店長や京都近鉄百貨店社長を務めた橋本達吉氏が中心となり、国鉄本社や関係省庁との間で度重なる折衝が行われました。最終的には、当初の目論見とは異なり国鉄（現・JR西日本）が主導する形となりましたが、計画は実現し、市営地下鉄開業に先行して1980年11月27日に地下街「ポルタ」が営業を開始しました。
近年の動きとしては、2023年3月1日にザ・キューブと統合され、正式名称が「京都ポルタ」として新たにスタートしています。京都駅の歴史と共に歩み、その時代ごとのニーズに応えながら進化を続けるポルタは、京都の玄関口にふさわしい賑わいを創出する重要な役割を担っています。
沿革
1974年（昭和49年）- 京都市営地下鉄烏丸線着工
1977年（昭和52年）4月11日 - 京都ステーションセンター株式会社設立
1978年（昭和53年）9月30日 - 京都市電廃止
1980年（昭和55年）11月27日 - ポルタ営業開始
1981年（昭和56年）5月29日 - 京都市営地下鉄烏丸線 京都駅 - 北大路駅間開業
1997年（平成9年）11月21日 - 京都駅ビル開業に合わせた改装実施
2009年（平成21年）3月20日 - 大規模改装実施
2014年（平成26年）3月20日 - 「ザ・キューブ」と共に新装開業。女性向け店舗構成へ変更
2023年（令和 5年）3月1日 - 「ザ・キューブ」と統合し、「京都ポルタ」として新装開業
交通アクセス
鉄道: JR西日本、JR東海、近畿日本鉄道、京都市営地下鉄 各線「京都駅」直結
* 路線バス: 京都市営バス、京都バス、京阪京都交通、京阪バス、西日本JRバス 各社「京都駅」関連バス停直結
京都ポルタは、交通の要衝である京都駅において、多様な店舗と優れたアクセス性を兼ね備えた、京都を訪れる多くの人々にとって欠かせない商業施設として機能しています。
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