仁保村 (広島県)

仁保村の概要

仁保村（にほむら）は、かつて広島県安芸郡にあった村で、1929年4月1日に広島市に編入されたことにより消滅しました。この村は、1917年まで「仁保島村」として知られていました。

地理

仁保村は、現在の狭義の「仁保」と呼ばれる地域よりもはるかに広範囲をカバーしていました。村は猿猴川の西岸に位置し、仁保島上にある淵崎（ふちざき）、本浦（ほんうら）、大河（おおこう）、丹那（たんな）、日宇那（ひうな）の5つの集落が含まれていました。さらに、対岸には堀越（ほりこし）や向灘（むかいなだ）といった集落もあり、広島湾に浮かぶ似島（にのしま）や金輪島（かなわじま）等も村域に含まれていました。

村の中心に位置する仁保島の大部分は黄金山（こがねやま）という山に覆われており、古道と呼ばれる道が集落を巡っています。村役場は淵崎に所在していました。

歴史

地名の由来

「仁保島」という名前は古代から存在する地名であり、水鳥の「鳰」（にほ）に由来するとされています。また、村内にある「邇保姫神社」の名称から来ているともされ、さらに古代には朱砂の産地であったという説もあります。

中世と近世

仁保島は室町時代には軍事的な要地として重要視され、仁保城が築かれました。この城は安芸武田氏や大内氏の争奪戦の被対象となり、最終的には毛利氏の支配下に置かれました。江戸時代に入ると、仁保島は広島藩の領有地となり、漁業が村の主要な経済活動とされました。特に「仁保七浦」と呼ばれる港では重要な水産業が行われていました。

1662年には新開地の造成が行われ、仁保島は広島城の近くに地続きとなりました。その後、江戸中期には海苔やカキの養殖が盛んになり、地域の名産品とされました。

近代以降

明治時代には仁保島村の名称・境域が維持されていましたが、宇品新開の造成により漁業が衰退。村民の海外移民も盛んになり、広島県内でも特に移民が多い地区となりました。また、農業においても棉花栽培が盛んに行われましたが、最終的には棉花の輸入自由化によって栽培数は減少しました。

沿革

仁保島村は次第に近代化し、1904年には宇品島が市に編入されました。1917年には仁保村に改称、1929年に広島市に合併されました。合併後、旧村域は仁保町として知られることとなり、その後も地名が使われています。

現在

仁保村時代から残る地名が現在も見受けられるほか、工業や商業の発展に伴い、その景観は大きく変わりました。仁保村のかつての面影を残しつつ、今日でも賑わいを見せています。

このように仁保村は歴史的にも地理的にも独自の深い背景を持つ地域であり、漁業や移民の文化が根付いた土地として知られています。

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