仁保城

仁保城（仁保島城）：広島湾を見守った山城

仁保城は、現在の広島市南区黄金山の山頂付近に位置する山城でした。別名、仁保島城とも呼ばれています。築城時期は不明ですが、室町時代後期には既に存在していたと考えられています。

地理的背景

仁保城が存在した当時、現在の広島市中心部はまだ海中にあり、黄金山は仁保島と呼ばれる島でした。仁保島は広島湾の重要な要害であり、その山頂に仁保城が築かれたのです。

構造と遺構

仁保城は連郭式の山城で、本丸、二の丸、三の丸で構成されていました。現在、テレビ塔が建っている場所が本丸跡と伝えられていますが、遺構はほとんど残っていません。しかし、黄金山の山頂付近には本丸と二の丸の石垣、北東の丘陵には出丸の石垣が残っていると言われています。

歴史

戦国時代の争奪戦

戦国時代、広島湾では安芸国の守護・武田氏と周防国の大内氏が激しく争っていました。仁保城は武田氏の警固衆（水軍）である白井氏の支城の一つでした。1495年、当主の白井光胤は武田氏から仁保の警固を命じられています。白井氏は当初、安芸国の国衙があった府中に出張城を築いていましたが、次第に仁保城を本拠地とするようになりました。

毛利氏の台頭と仁保城

武田氏滅亡後、大内氏が家臣の陶晴賢によって滅ぼされると、毛利元就が陶氏と決別。親陶派であった当時の仁保城主・白井賢胤は、毛利氏によって仁保城から追放されました。毛利元就は、武田氏旧臣で水軍の将であった香川光景を仁保城の城番としました。

1555年、白井賢胤は矢野城主・野間隆実と共に仁保城を攻めましたが、奪還には至りませんでした。同年7月には、陶氏の家臣・三浦房清が水軍を率いて攻めましたが、香川光景はこれを撃退しました（仁保島合戦）。

毛利氏の支配とその後

その後、1591年までに毛利家臣の三浦元忠が仁保城を有することになりました。元忠は黄金山の北側中腹に菩提寺である観音寺を開き、その寺に元忠のものと伝えられる墓が残っています。その後の仁保城が廃城となった経緯は明らかではありません。

関連情報

仁保城についてさらに詳しく知りたい方は、以下の書籍や情報を参照してください。

仁保村役場『仁保村志』 1929年
広島市立仁保小学校『かおり：創立百周年記念誌』 1972年
『広島県の地名』（日本歴史地名大系 第35巻） 平凡社、1982年
『角川日本地名大辞典 第34巻：広島県』 角川書店、1987年 ISBN 4040013409

周辺情報

仁保城跡を訪れる際には、周辺の史跡や観光スポットも巡ってみるのがおすすめです。

仁保村 (広[[島県)]]
仁保 (広[[島市)]]
黄金山 (広島市)
佐東銀[[山城]]
三入高松城
草津城
桜尾城
己斐城
府中出張城
矢野城
* 広島城

仁保城は、広島の歴史を語る上で重要な城の一つです。訪れる際には、当時の様子を想像しながら、その歴史に思いを馳せてみてください。

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