仁保氏

仁保氏（にほし、にほうじ）

仁保氏は、日本の氏族の一つで、本姓は平氏です。特に知られているのは、周防国（現在の山口県）を拠点とした一族です。

周防仁保氏

周防仁保氏は、桓武平氏三浦氏の庶流にあたり、周防国吉敷郡仁保荘（現在の山口市仁保地区）を領しました。その始まりは、鎌倉時代に地頭として関東から周防国へ下向した平子（仁保）重経です。重経は源頼朝の家臣であり、平氏滅亡後に周防国吉敷郡内の仁保荘、恒富保の地頭職に任じられ、建久8年（1197年）に周防国へ土着しました。

鎌倉時代末期、後醍醐天皇による鎌倉幕府追討の際、仁保氏は幕府方についたため所領を失いました。しかし、南北朝の争乱では足利尊氏に一貫して従い、その結果、所領を回復しています。

その後、仁保氏は周防国・長門国を中心に活動した守護大名である大内氏に仕え、その被官として活動しました。大内氏滅亡後は、周防国を支配した毛利氏に仕えています。

仁保氏の菩提寺である源久寺には、木造の平子重経坐像が安置されており、国の重要文化財に指定されています。この坐像は、平成3年（1991年）に大英博物館で開催された「鎌倉彫刻展」にも出品され、展示されました。

歴代当主

以下に仁保氏の歴代当主を記します。

平子重経（しげつね）- [三浦氏]・平子氏の出身。
平子重資（しげすけ）
平子重貞（しげさだ）
平子重親（しげちか）
平子重有（しげあり）
平子重嗣（しげつぐ）
平子氏重（うじしげ）
平子重世（しげよ）
平子貞重（さだしげ） - 重世の弟。
平子重房（しげふさ）
仁保重頼（しげより） - 重房の弟。「仁保」に改姓。
仁保重郷（しげさと） - 重房・重頼の弟。「仁保」に改姓。
仁保盛郷（もりさと） - 諱は「盛重」（もりしげ）とも。大内氏当主・大内盛見より偏諱を賜う。娘に陶弘房室がいる。
仁保弘有（ひろあり） - 大内教弘・政弘の家臣。上総介を称する。安芸国東西条代官か。応仁の乱のさなかに、西条衆を率いて大内武治とともに東軍に寝返る。大内教弘より偏諱を賜う。仁保氏の全盛を築く。
仁保護郷（もりさと） - 大内政弘・義興家臣。長王丸。太郎。豊前守護代。左近将監を称する。
仁保興棟（おきむね） - 大内義興家臣。長満丸。太郎。宮内少輔。大内義興より偏諱を賜う。
仁保長光丸（ちょうこうまる） - 興棟の長子、早世。
仁保興貞（おきさだ） - 興棟の弟。大内義興より偏諱を賜う。
仁保興奉（おきとも） - 興棟の次子、長光丸の弟。長寿丸。太郎。宮内少輔。大内義興より偏諱を賜う。
仁保隆在（たかあり） - 2代・重資の甥（弟・重次の子）、吉田重教を祖とする吉田氏の出身。
仁保元棟（もとむね） - 実父は吉川元春（毛利元就の次男）。のち毛利姓に復し元氏と改名。
三浦元忠 - 旧名神田元忠。毛利氏に復した元氏から「仁保」の家名を継承し、その後仁保氏の旧姓「三浦」に復す。
三浦元精（もときよ）
三浦虎法師（とらほうし） - 元忠の養子、早世。
三浦元実（もとざね） - 元精の子。

その他の人物

仁保盛安 … 加賀守。大内政弘家臣。筑前守護代。

参考文献

今井尭ほか編『日本史総覧』
鹿毛敏夫ほか 著、鹿毛敏夫 編『大内と大友 : 中世西日本の二大大名』
中司健一 著「大内氏当主側近層の形成と展開」、鹿毛敏夫 編『大内と大友 : 中世西日本の二大大名』
仁保の郷土史編纂委員会『仁保の郷土史』
萩藩閥閲録
山口市史

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