三浦元忠

三浦元忠（神田元忠）：毛利家を支えた知勇兼備の武将

三浦元忠、または神田元忠は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した毛利氏の家臣です。初めは「松山惣四郎」と名乗り、毛利輝元の側近として頭角を現しました。

生涯

弘治元年（1555年）に生まれた元忠は、天正5年（1577年）に輝元から「源次兵衛尉」の官途名を与えられます。同年、神田隆久の養子となり「神田惣四郎」と改名。周防国山代本郷神田や安芸国高田郡吉田などで所領を与えられました。

天正8年（1580年）、毛利輝元の備中出陣では一軍の将を務めます。しかし、虎倉城攻撃の途上、下加茂の山中にて伊賀久隆の強襲を受け、毛利軍は大敗。元忠自身も負傷し、危うく戦死しかけましたが、粟屋元光の活躍により窮地を脱しました。この敗戦後、元忠は戦死した宇多田藤右衛門の遺児に対し、今後の支援を約束する書状を送っています。

天正14年（1586年）には、豊臣秀吉の命令による九州平定に出陣の準備を開始。秀吉の検使である黒田孝高との連携を命じられ、長井親房や仁保元豊と共に九州方面の処置に尽力します。島津氏との和解交渉が決裂すると、元忠は毛利家の陣代として3000の兵を率い、島津氏討伐軍の先兵として九州へ上陸。その功績により、足利義昭から白傘袋と毛氈鞍覆の免許を与えられました。

天正15年（1587年）に島津義久が秀吉に降伏した後、元忠は繁沢元氏の娘・たやを娶り、周防国の旧族・仁保氏を継ぐことを許され、三浦氏を名乗ります。一方、相続していた神田氏は、養父・隆久の弟である神田隆継が継承。同年、足利義昭から「大外様」に任じられました。

さらに同年、元忠は市川経好の後を継ぎ、山口奉行に就任。しかし、二宮就辰が元忠を通さず直接指示を出すなど、山口奉行の役割は縮小傾向にありました。

天正16年（1588年）、輝元に従って上洛し豊臣姓を授与され、輝元の参議任官式では供を務めました。天正19年（1591年）には、安芸国、備後国、周防国、長門国の4ヶ国に渡り、1万6689石余りの所領を与えられ、仁保城の城番も任されています。

文禄元年（1592年）からの文禄の役では、輝元に従い朝鮮へ渡海。開寧に本陣を構え、慶尚道北部攻略を指揮しました。元忠は、開寧付近を襲撃する朝鮮兵を討ち取る武功を上げ、また、宍戸元続と共に、慶尚道に逃亡した官民に帰還を促す布告文を発しました。

文禄5年（1596年）、輝元が伏見へ上る際、病を抱えながらも供をします。伏見でも病状は回復せず、帰国を許されますが、同年8月20日、帰国途中の安芸国音戸の瀬戸にて病死。享年42。菩提寺は、仁保城近くに建立した観音寺です。

三浦元忠は、戦国時代の激動の中、毛利家を支え、数々の功績を挙げた武将として、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献

三卿伝編纂所編、渡辺世祐監修『毛利輝元卿伝』（マツノ書店、1982年）
防府市史編纂委員会『防府市史 通史Ⅰ』（2004年）
『毛利家文書』
『萩藩閥閲録』巻90「神田彦右衛門」

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