今川淵

今川淵（1886年7月18日 - 1955年）は、台湾総督府において重要な役割を果たした官僚です。福井県福井市に生まれ、東京帝国大学法科大学政治科を1912年（明治45年）に卒業後、翌年には高等文官試験に合格し、そのキャリアをスタートさせました。

今川は台湾総督府属としてその才能を発揮し始め、その後、同事務官、台北庁庶務課長、内務局地方課長、殖産局糖務課長、そして専売局参事・庶務課長など、数々の要職を歴任しました。これらの職務を通じて、台湾の行政、産業、そして社会の発展に大きく貢献しました。

一時的に官職を退きましたが、1932年（昭和7年）に台南州知事として再び公務に復帰しました。その後、1936年（昭和11年）には台北州知事に転任し、その行政手腕をさらに発揮しました。同年には専売局長に就任し、台湾における専売制度の運営に深く関わりました。1939年（昭和14年）に官職を退いた後も、その活動は止まることなく、南方協会の常務理事を経て、台湾石炭株式会社の社長として実業界で活躍しました。

また、今川淵の親族には著名な人物がいます。妻の兄には建築家の井手薫がおり、妻の祖父には歌人の橘曙覧がいます。これらの親族関係からも、今川の家系が文化や芸術にも深く関わっていたことが伺えます。

今川の生涯は、台湾の近代化と発展に尽力した官僚としての側面と、退官後に実業界で活躍した経営者としての側面を持っています。彼の業績は、台湾の歴史において重要な位置を占めており、その名前は今もなお記憶されています。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第11版（上）』人事興信所、1937年。
人事興信所編『人事興信録 第14版（上）』人事興信所、1943年。
* 福井県藤島高等学校百年史編集委員会編『福井県藤島高等学校百年史』福井県藤島高等学校、1956年。

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