今村成和

今村成和について

今村成和（いまむら しげかず）は、1913年に朝鮮京城で生まれ、1996年に日本で亡くなった著名な法学者である。彼の専門分野は行政法と経済法であり、その研究と著作は日本の法学界において重要な役割を果たした。1947年から1981年までの約34年間、北海道大学で教鞭を執り、後に北海学園大学でも教授として活躍した。また、日本学士院会員としても知られ、1985年には勲一等瑞宝章を受賞している。

学歴と初期の経歴

今村は、京城師範学校附属小学校・中学校を卒業後、1934年に第二高等学校文科甲類を卒業。1937年には東京帝国大学法学部政治学科を卒業し、三菱商事株式会社に入社。この時期に法学の基礎を学び、さらなる専門性を高めていくこととなる。1947年には公正取引委員会に勤務し、その後は公正取引の調査部門で多くの業務を行った。

大学でのキャリア

1950年、今村は北海道大学法文学部の専任講師に就任。その後、教授に昇進し、1965年には法学部長にもなる。教育者としての彼の影響力は広く、東北大学や東京大学などでも非常勤講師として教鞭を執った。1981年に北海道大学を退官後、北海学園大学法学部教授に就任し、1993年には名誉教授となった。彼の教えを受けた学生たちの中には、優れた学者や法律家が多く含まれている。

学外での活動

法律に関する多くの委員会や審議会に参加し、公共の政策策定にも寄与した。1953年から日本学術会議会員として活動し、様々な法律関連の審議会で重要な貢献を果たした。また、経済法学会の理事長や、日本土地法学会の初代会長に就任し、法律学の発展にも寄与した。

学説と著作

今村が提唱した自己責任説は、国家賠償法における責任の解釈に関する新たな視点を提供した。この学説では、国家が加害公務員の不法行為責任を肩代わりするのではなく、国または公共団体が直接責任を負うべきだとされている。彼の著作には、『国家補償法』や『行政法入門』などがあり、これらは法学界で広く引用されている。

最期と遺志

1996年、今村は脳梗塞で入院中に肺炎にかかり、札幌市内の病院で亡くなった。彼は自身の蔵書を北海学園大学に寄贈することを遺言し、その蔵書は「今村文庫」として大学に保管されている。彼の研究と情熱は、後世の法学者や学生に引き継がれ、多くの人々に影響を与え続けている。

趣味と人柄

趣味としてカメラ収集や風景写真の撮影を楽しんだことからも、その多面的な人間性が伺える。学問に対する真摯な姿勢だけでなく、芸術への理解も深い人であったようだ。今村成和は、日本の法学界の重要な人物として、今も多くの人に敬愛されている。

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