今枝由郎

今枝由郎（いまえだ　よしろう）

今枝由郎氏は、1947年に愛知県で生まれ、チベット学者として国際的に活躍されています。専門はチベット歴史文献学であり、その研究はチベットの歴史、文化、宗教に深く根ざしています。

学歴と職歴

今枝氏は、大谷大学文学部を卒業後、チベット研究のためにフランスに留学し、パリ第七大学で文学博士号を取得しました。その後、フランス国立科学研究センター（CNRS）で主任研究員を務め、長年にわたりチベット研究に携わってきました。1981年から1990年までの間、ブータン国立図書館の顧問としてブータンに滞在し、図書館建設に尽力しました。1995年には、カリフォルニア大学バークレー校の客員教授も務めました。現在は、京都大学こころの未来研究センターでチベット歴史・文献学の特任教授として、後進の指導と研究活動に励んでいます。

研究活動と貢献

今枝氏の学術的な貢献は多岐にわたります。チベットの歴史、特に文献学の分野において、数多くの重要な研究成果を発表してきました。また、ブータンに関する研究も深く、その著書や論文を通じて、ブータンの歴史、文化、宗教についての理解を深めることに貢献しています。ブータン国立図書館の建設への貢献は、文化財の保護と研究の推進に重要な役割を果たしました。

チベットへの立場

今枝氏は、ダライ・ラマ14世を強く支持しており、チベット亡命政府（ガンデンポタン）の立場を擁護しています。そのため、中国のチベット政策に対しては批判的な立場を明確にしており、現在のチベットへの入国は避けています。

私生活と家族

今枝氏はフランス国籍を取得しており、元夫人は同じくチベット学者であるフランソワーズ・ポマレ氏です。現在は日本人女性と再婚されています。

著書と翻訳書

今枝氏は、数多くの著書、翻訳書、共著を出版しています。

著書

『ブータン―変貌するヒマラヤの仏教王国』（1994年、増補版2013年）
『ブータン仏教から見た日本仏教』（2005年）
『ブータンに魅せられて』（2008年）
『ブッダが説いた幸せな生き方』（2021年）
『ブータン中世史　ドゥク派政権の成立と変遷』（2003年）
『敦煌出土チベット文「生死法物語」の研究―古代チベットにおける仏教伝播過程の一側面』（2006年）

共著・編著

『ブータン　東ヒマラヤの王国』（1985年）
『ブータンのツェチュ祭　神々との交感』（1994年）
『ブータン・風の祈り　ニマルン寺の祭りと信仰』（1996年）
『多田等観全文集　チベット仏教と文化』（2007年）

訳書

『サキャ格言集』（2002年）
ロベール・ドリエージュ『ガンジーの実像』（2002年）
フィリップ・ブルサール、ダニエル・ラン『囚われのチベットの少女』（2002年）
ヴェロニック・クロンベ『ブッダ　生涯と教え』（2003年）
『ダライ・ラマ14世　幸福と平和への助言』（2003年）
ロラン・デエ『チベット史』（2005年、新装版2022年）
ドルジェ・ワンモ・ワンチュック『幸福大国ブータン　王妃が語る桃源郷の素顔』（2007年）
ダライ・ラマ6世（ツァンヤン・ギャムツォ）『ダライ・ラマ六世 恋愛彷徨詩集』（2007年）
フレデリック・ルノワール『人類の宗教の歴史－9大潮流の本質・誕生・将来』（2011年）
『日常語訳 ダンマパダ　ブッダの〈真理の言葉〉』（2013年）
『日常語訳 新編スッタニパータ　ブッダの〈智恵の言葉〉』（2014年）
ワールポラ・ラーフラ『ブッダが説いたこと』（2016年）
ゲンドゥン・リンチェン『ブータンの瘋狂聖　ドゥクパ・クンレー伝』（2017年）
『スッタニパータ　ブッダの言葉』（2022年）
『ダンマパダ　真理の言葉』（2023年）
ジャン･ノエル・ロベール『仏教の歴史　いかにして世界宗教となったか』（2023年）

共訳・監修

クンサン・チョデン『ブータンの民話と伝説』（1998年）
マーカス・ボーグ編『イエスの言葉　ブッダの言葉』（2001年）
フランソワーズ・ポマレ『チベット 〈「知の再発見」双書〉』（2003年）
ドルジ・ワンモ・ワンチュック編著『ウギェン・ドルジ述　虹と雲　王妃の父が生きたブータン現代史』（2004年）
ピーター・ホップカーク『チベットの潜入者たち　ラサ一番乗りをめざして』（2004年）
フレデリック・ルノワール『仏教と西洋の出会い』（2010年）
ソナム・ギェルツェン『チベット仏教王伝　ソンツェン・ガンポ物語』（2015年）
アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール／アプル・ユンテン『ケサル王物語　チベットの英雄叙事詩』（2021年）
『ダライ・ラマ六世恋愛詩集』（2023年）

その他

『ゾンカ語口語教本』（2006年）
「チベット語のカタカナ表記について」

論文

CiNii>今枝由郎
* INBUDS>今枝由郎

今枝由郎氏は、チベット研究の分野において、国際的に高く評価されている研究者であり、その研究活動は、チベット文化の理解を深める上で、大きな貢献を果たしています。

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