仏教公伝

仏教公伝の概要

仏教公伝（ぶっきょうこうでん）は、国家間の公式な交渉として仏教が日本に伝わったことを指します。特に、日本の上代、すなわち6世紀半ばの欽明天皇の時代に、百済から大和朝廷へ仏教が伝来した事例が一般的に取り上げられます。この文脈でマークされた「公伝」とは、公的な伝達を強調するために用いられ、個人的な信仰を伴った伝来との区別を示しています。

公伝前の状況

仏教は、主に二つの流派に分かれて広がりました。ひとつは南伝仏教で、東南アジアから伝播されたものです。もうひとつは大乗仏教で、特に中国を経由して朝鮮半島に広まりました。日本に伝えられた仏教は主に北伝仏教であり、1世紀頃に中国で広まり、4世紀には鳩摩羅什の翻訳による漢訳仏典が増え、周辺国へも広がりました。

朝鮮半島の三国においては、それぞれ独自に仏教が受け入れられました。最初に高句麗、次に百済、最後に新羅が仏教を公認しました。この過程で、朝鮮から日本に仏教を持ち込んださまざまな渡来人が存在しており、彼らによる私的な信仰も重要な役割を果たしました。

渡来人と仏教の伝来

古代日本には多くの帰化人がいたと考えられており、多くは朝鮮半島から来た人々でした。彼らは、氏族として集まり、私的な信仰として仏教を持ち込みました。522年には、司馬達等が来朝し、大和国で「大唐の神」を礼拝していたという記録が残っています。この影響で、日本の寺院においても仏像や仏典が存在していたことが示されています。

仏教公伝と外交

4世紀後半以降、高句麗、百済、新羅は政治的に対立し、外交関係が複雑化していきました。538年、百済の聖明王は大和朝廷との連携を強化し、仏教の伝来を通じて大陸文化を日本に広めることを目指しました。この時期の仏教は、外交の手段として利用された側面も忘れてはいけません。

公伝年代に関する議論

日本への仏教伝来の具体的な年については、552年説と538年説が存在します。一般的には538年が有力とされていますが、渡来人による私的な信仰の伝来が公的な伝達に先行していたとも考えられています。なぜなら、書紀や他の文献には552年説に異論もありますが、538年については「戊午年」という記録もあり、信憑性が高いと言われています。

受容の過程

日本において仏教が受け入れられる過程は順風満帆ではありませんでした。崇仏論争は特に名高く、新たに入ってきた仏教に対する古代信仰との衝突が見られました。大和朝廷の豪族たちが二分され、物部氏は古来からの信仰を重視し、一方、蘇我氏は仏教を受け入れる姿勢を持っていました。

欽明天皇はその美しい仏像に感銘を受け、仏教受容の議論を促したものの、反対意見も強く、結局仏像を許可したものの、疫病の流行を受けて仏教の信仰を否定する動きが出てきました。

崇仏論争の続き

この崇仏論争はその後、王位継承や権力闘争と絡んで激化しました。蘇我氏が仏教に寄り添う一方で、物部氏とその支持者はその影響を排除しようとしました。この力関係は、587年の戦いでの決着に至り、以降仏教が更なる受容へと向かうことになります。

特に推古天皇の時代に、仏教は一層の普及を見ましたが、依然として一般市民にはまだ根付いていない状況でした。

奈良時代以降の発展

奈良時代に入ると、国分寺の設置や東大寺大仏の建立が行われ、仏教の普及が進む中で、平安時代には新たな宗派も登場して徐々に庶民層へも広がっていきました。鎌倉時代に入れば、武士や庶民層に仏教が広く浸透していき、如来や菩薩への信仰は日本独自の文化として発展することになったのです。

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