仙台・青葉まつり

仙台・青葉まつりは、毎年5月の第3日曜日とその前日の2日間、宮城県仙台市で開催される祭です。この祭は、伊達政宗公の没後350年にあたる1985年に、かつて存在した祭りを復活させる形で始まりました。仙台の歴史と文化を色濃く反映したこの祭りは、多くの人々を魅了し続けています。

概要

歴史的背景

江戸時代、仙台では「東照宮御祭礼」という仙台[[藩]]最大の祭りが「仙臺祭」と呼ばれていました。この祭りは、数十基の山車と数千人による大規模な渡御が特徴でした。しかし、明治維新の影響でこの祭りは開催されなくなり、山車は桜岡大神宮や青葉神社の祭礼に参加するようになりました。

祭りの復活

1985年、伊達政宗公没後350年を記念して、仙台市長の石井亨氏の主導のもと、祭りが復活しました。バブル景気、「独眼竜政宗」ブーム、仙台市営地下鉄の開業、政令指定都市への移行、市制100周年といった時代背景も、祭りの拡充を後押ししました。現在の祭りは、「仙台祭」と「青葉祭」双方の要素を取り入れ、山鉾巡行、神輿渡御、すずめ踊り、武者行列などが主な構成要素となっています。

祭り開催

祭りは仙台市都心部で行われ、祭りの1週間前には「一番おどり」と呼ばれるすずめ踊りが一番町を練り歩きます。水曜日からは山鉾が中心部のアーケードに展示され、土曜日の「宵まつり」ではすずめ踊りコンテストが開催されます。日曜日の「本まつり」では、山鉾巡行、青葉神社神輿渡御、武者行列、すずめ踊りなどが繰り広げられます。

青葉神社との関係

「仙台・青葉まつり」は、伊達政宗公の命日に行われていた青葉神社の祭礼「青葉祭」と歴史的なつながりがあります。そのため、青葉神社の神輿渡御も行われますが、青葉神社では「春の大祭」を別途、政宗公の命日に執り行っています。

歴史

東照宮御祭礼

1654年（承応3年）：仙台[[藩]]二代藩主、伊達忠宗が仙台東照宮を創建。
1655年（明暦元年）：仙台東照宮の祭礼が始まり、「仙台祭」として城下最大の祭りとなる。

明治維新期

1868年（明治元年）：戊辰戦争で仙台[[藩]]が降伏し、東照宮御祭礼の開催が困難になる。
1869年（明治2年）：明治政府が仙台[[藩]]を減封し、藩財政が困窮。寺社の知行地が廃止され、寺社も困窮。
1871年（明治4年）：廃[[藩置県]]により寺社は藩の後ろ盾を失う。

青葉祭りの誕生

1872年（明治5年）：大町の商人が支援し、荒巻神明社（現・櫻岡大神宮）が遷宮、櫻岡神宮祭礼を執り行う。
1874年（明治7年）：伊達政宗公を祀る青葉神社が創建され、政宗公の命日に例祭を行うようになる。
1882年（明治15年）：青葉神社例祭が盛んになり、「青葉祭り」という名称も生まれる。
1899年（明治32年）：仙台開府300年祭。市内に電線が張り巡らされ、山鉾巡行が困難になり、山鉾巡行を伴う祭りは終了。

戦後の青葉祭り

1956年（昭和31年）：戦後、青葉神社例祭（青葉まつり）が復活。
1965年（昭和40年）：青葉神社神輿渡御が中断。
1970年頃（昭和40年代後半）：交通事情により青葉まつりは終了。

仙台・青葉まつりの復活

1985年（昭和60年）：伊達政宗公没後350年を機に、市民の祭りとして「仙台・青葉まつり」が復活。
1987年（昭和62年）：仙台すずめ踊りが祭りの舞台で踊られるようになり、「独眼竜政宗」ブームで観客が急増。
1988年（昭和63年）：仙台すずめ踊りコンテストが開始。
1989年（平成元年）：仙台市が政令指定都市に移行し、市制100周年。山鉾巡行が10基となる。
1995年（平成7年）：政宗公兜山鉾が完成し、山鉾は現在の11基となる。
2011年（平成23年）：東日本大震災により祭りは中止。
2020年（令和2年）：新型コロナウイルス感染拡大の影響で祭りは中止。
2021年（令和3年）：新型コロナウイルスに関わる蔓延防止等重点措置のため中止。

山鉾巡行

運行される山鉾は11台で、それぞれが仙台市近辺の企業や団体によって運行されています。山鉾は本祭りの日に東二番丁通りや定禅寺通りを巡行するほか、開催週の水曜日から一番町のアーケード街に展示されます。サイズは全長5.2～6.2メートル、全高約6メートル、重量5.5～8トンです。

山鉾一覧

1. 大鯛山鉾（阿部蒲鉾）: 巨大な鯛の飾りと絵馬が特徴。
2. 恵比寿山鉾（藤崎）: 恵比寿像を乗せた山鉾。
3. 大黒天山鉾（報道六社）: 大黒天像を載せた山鉾。
4. 雅山鉾（JR東日本）: 桃山様式調の装飾が施された山鉾。
5. 囃子山鉾（NTT東日本）: 舞台で囃子が演奏される山鉾。
6. 政宗公山鉾（仙台観光コンベンション協会）: 仙台市長らが搭乗する山鉾。
7. 御神船山鉾（仙台水産）: 船をモチーフにした山鉾。
8. 唐獅子山鉾（勝山企業）: 唐獅子を載せた山鉾。
9. 七福大太鼓山鉾（七十七銀行）: 七福大太鼓を載せた山鉾。
10. 青葉駒山鉾（菓匠三全）: 木の下駒を載せた山鉾。
11. 政宗公兜山鉾（日専連仙台）: 政宗公の兜をモデルとした装飾が施された山鉾。愛姫役の小学生が搭乗。

仙台すずめ踊り

仙台すずめ踊りは、祭りの主要な要素の一つであり、多くの踊り手が祭りを盛り上げます。

仙台すずめ踊りコンテスト

土曜日の宵まつりには、すずめ踊りコンテストが開催されます。部門や賞は頻繁に変更されますが、一般部門、子すずめ踊り部門、学生部門、祭連対抗個人戦などが開催されてきました。

その他

伊達政宗公に関連する祭は雨にたたられるというジンクスがあります。
仙台七夕まつり、SENDAI光のページェントとともに、仙台三大まつりの一つに数えられています。
徳島県の阿波踊りに、すずめ踊りコンテストの受賞チームが参加しています。
大阪府堺市でも、仙台すずめ踊りが普及しています。

脚注・参考文献

「すずめ躍りの変遷／伝承者　黒田虎雄さんに聞く」『河北新報』1999年5月15日
仙台・青葉まつり協賛会「平成16年仙台青葉まつりガイドブック」2004年

仙台・青葉まつり