代官山アドレス

代官山アドレス：複合施設の詳細解説

代官山アドレスは、東京都渋谷区代官山町に位置する複合施設であり、高層マンション、商業施設、公共スポーツ施設などが一体となった都市空間です。2000年8月に開業し、代官山の新たなランドマークとして親しまれています。

概要

代官山アドレスは、かつてこの地にあった同潤会アパートの建て替え、再開発によって誕生しました。住宅部分の中心となるのは36階建ての高層マンション「ザ・タワー」で、総戸数は501戸。再開発前から住んでいた253世帯も再入居しています。

施設全体は、ショッピングセンター「ディセ」、渋谷区の公共施設「代官山スポーツプラザ」、駐車場などで構成されています。また、旧同潤会代官山アパート時代から存在した「代官山公園」は、代官山駅の駅前広場と一体化する形で再整備され、地域住民の憩いの場となっています。

再開発は都市再開発法に基づく組合施行の事業方式で進められ、公共施設の整備や公開空地の設置によって容積率の緩和や補助金の助成を受けています。事業は、従前からの土地所有者による再開発事業組合「代官山地区市街地再開発組合」と、デベロッパーである鹿島建設と大成建設が共同で行いました。

施設構成

施設の設計は日本設計とNTTファシリティーズが担当し、鹿島建設と大成建設を中心とする共同事業体（JV）が施工しました。ランドスケープの基本計画は、著名なランドスケープアーキテクトであるロバート・ザイオンが手がけています。

敷地面積は17,262平方メートル。再開発事業では、地下に東京電力の変電所も建設されました。

ザ・タワー

代官山アドレスのシンボルである「ザ・タワー」は、地下4階地上36階建て、高さ119.9メートル。総戸数387戸のうち、約半数が地権者向け、残りの約200戸が1999年夏から分譲されました。竣工は2000年8月です。

渋谷区内では、青山パークタワーと並ぶ高さを誇ります。そのスタイリッシュな外観は、テレビドラマ『やまとなでしこ』をはじめ、数多くのテレビ番組のロケ地としても利用されています。

代官山アドレスには、「ザ・タワー」の他にも、「ジ・アネックス」（5階24戸）、「ザ・レジデンス・イースト」（13階42戸）、「ザ・レジデンス・サウス」（10階30戸）、「ザ・レジデンス・ウェスト」（8階18戸）といった集合住宅があります。

敷地内には、スーパーマーケットのピーコックストアなど、生活に便利な商業施設も入っています。

ディセ

「ディセ」は、代官山アドレスの中心的な商業施設で、20以上のショップやレストランが入居しています。「ディセ（dixsept）」という名称は、フランス語で「17」を意味し、代官山アドレスの住所「渋谷区代官山町17番地」に由来します。ディセの事業主は、平和不動産です。

渋谷区代官山スポーツプラザ

再開発事業の条件緩和要件として建設された渋谷区の公共施設です。屋内温水プール2つ、屋外幼児プールのほか、卓球やエアロビクスなどができる多目的室があり、渋谷区民や区内在勤・在学者に利用資格があります。

地下変電所

代官山アドレスの地下には、東京電力の変電所が設置されています。この変電所は、渋谷区を中心とした東京23区南東部に電力を供給する重要な拠点となっています。

歴史

同潤会代官山アパート

代官山アドレスの前身は、関東大震災の復興を目的に設立された同潤会が建設した同潤会アパートです。代官山アパートは、東京・横浜地区に建設された16ヶ所の同潤会アパートの一つでした。

敷地面積は5,976坪。緑豊かな敷地には、傾斜地を生かした2階建て、3階建ての鉄筋コンクリート造りのアパート36棟、公衆浴場、食堂などが配置されていました。

大正14年に着工し、昭和2年～3年にかけて竣工。各住戸はモダニズム建築を意識した近代的な集合住宅で、全36棟に337戸が設けられました。間取りの中心は2K。震災の教訓から鉄筋コンクリート造が採用され、娯楽室、食堂、水洗トイレ、ダストシュート、自家水道施設、児童公園、公衆浴場なども備えられていました。

建設当時は最先端の仕様でしたが、平均専有面積が10坪程度と狭く、「6畳一間、トイレ共同」という住戸もあったため、戦後には「狭くて住みにくい」という評価が一般的になりました。昭和28年には住民に払い下げられ、その後は各居住者による増改築が目立つようになりました。

再開発事業

老朽化が進んだ代官山アパートでは、昭和53年頃から建て替えの話が持ち上がり、1983年には再開発準備組合が設立されました。

組合は事業協力者としてデベロッパーを募りましたが、事業の難航やバブル崩壊の影響で、当初参加していた6社のゼネコンが相次いで撤退。平成4年には鹿島建設と大成建設の2社のみとなり、事業の断念も検討されました。しかし、東京電力が事業地地下に変電所を建設することを提案したことで、事業実施が決定しました。

実際の工事は1996年8月に始まり、2000年8月に竣工しました。事業が難航した要因の一つとして、権利変換が必要な権利者住宅が253戸、地権者が約500名と多数であったことが挙げられます。再開発施設の中心としては当初、タワーマンションではなくオフィスビルが検討されていたようです。

代官山アドレスは、歴史的な背景と最新の都市機能が融合した、魅力的な複合施設として、これからも代官山の発展に貢献していくことでしょう。

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