代官手附

代官手附について

代官手附（だいかんてつき）は、江戸幕府に設けられた官職の一つであり、主に代官や郡代をサポートする役割を果たしました。この役職は幕府の御家人によって構成され、主に江戸や天領の陣屋で地方政治の様々な業務を担当しました。代官手附は、代官手付または単に手附とも呼ばれ、地方統治の要となる大変重要な職務を担っていました。

手附の設置と目的

代官手附の制度は、寛政2年（1790年）に信濃国の代官、野村八蔵輝昌の提案により始まりました。彼の提案は勘定奉行、柳生久通によって採用され、初めて手附が設置されることになりました。設置の目的は以下のような点が挙げられます。
1. 無役の小普請の御家人に職を与えること。
2. 非幕臣の手代に対する代官の依存を解消すること。
3. 有能な手代を幕臣として登用し、適正な統治を促進すること。

手代との違い

手代は百姓や町人から採用される役職ですが、手附は明確に幕府の御家人であり、任命には情報が必要です。手附はより高い地位であり、代官のサポートを行うため、より専門的な知識と技術が求められました。手附の職務は広範囲にわたり、年貢の徴収から農商工政策、さらには裁判や警察業務まで多岐に渡ります。

手代の不正とその影響

江戸時代の後期、手代は長年の勤務を通じて業務に精通し、時には代官より立場が強くなることもありました。不正を働く手代と、その行動が代官にも波及することがしばしばありました。このような状況は、手代が相互に結束し、より強力な影響力を持つことを許しました。そのため、手代の不正行為には処罰が難しく、穏便に済ませることが多かったようです。

手附の地位と職務

手附は小普請から配属された御家人が多いが、他の役から出向する者もいます。手附の職務は手代と同じながら、職務内容は異なり、給与面でも手附が少し低いものの、休職時には年俸の支給があるため、安定した地位ではありました。手代の中にはその能力を評価されて手附に昇進する者も多くおり、結果的には手代と手附の関係がより協力的になっていきました。

手附の人数と役職

江戸時代の代官半僚には元締手附や加判手附などが存在し、代官の役所にはその人数が定められていました。例えば、嘉永6年において信州中之条の代官には、江戸詰が9人、陣屋詰が4人、出張陣屋詰が4人と記録されています。このように、役職ごとに明確な人数割り当てが行われ、効率的な運営が図られました。

手附と手代の執務規程

手附や手代は出勤時間や欠勤規則などの執務規程で明確に規定されていました。このような規程は業務の規律を保ち、円滑な運営を実現するために重要な役割を果たしていました。例えば、手代は遅刻や欠勤の際にその旨を報告する義務があり、業務を行う上での基準が提供されていたのです。

結語

代官手附は、幕府における地方行政の要であり、その役割は単なる補佐にとどまらず、地方統治や司法、治安維持などにも関わっていました。しかし、その職務の中で手代との関係や不正問題が浮き彫りとなり、代官の治管を難しくする要因ともなりました。手附制度は、江戸時代の行政の重要な一翼を担った制度であったと言えます。

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