柳生久通

柳生 久通について

柳生 久通（やぎゅう ひさみち）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した旗本であり、通称は玄蕃であります。彼の官位は従五位下・主膳正であり、特に歴代の勘定奉行の中で最も長い28年強にわたってその職を務めたことが特筆されます。

経歴の概要

宝暦12年（1762年）に10代将軍徳川家治に拝謁した後、西丸書院番としての第一歩を踏み出しました。その後、明和3年（1766年）には小納戸、明和4年（1767年）には小姓に転任し、この時期に従五位下に叙位され、主膳正にも任官されました。

安永2年（1773年）には世子徳川家基の小姓となり、その後も安永7年（1778年）4月には小十人頭に、安永9年（1780年）には目付に異動します。また、天明5年（1785年）には小普請奉行、天明7年（1787年）には江戸北町奉行に抜擢されるなど、徐々に重要なポジションを任されていきます。

特に、天明8年（1788年）には勘定奉行上座に昇進し、ここから彼の職業人生はさらに目覚ましい進展を見せます。寛政11年（1799年）には、勘定奉行としての同僚としての評価が高まり、500石の加増を受けて1100石となりました。文化4年（1807年）には道中奉行を兼任し、文化12年（1815年）には徳川家康二百回忌法会の準備に携わります。最終的には文化14年（1817年）に留守居に異動し、在職中に亡くなるまでその職責を全うしました。享年は84歳です。

逸話と評判

松平定信の近習である水野為長による記録『よしの冊子』は、久通が町奉行に就任した際の評判を伝えています。彼が柳生一族の出身であることから市中に噂が広がったものの、実際にはその職務振りは賛否が分かれました。特に彼の町奉行在職時には、相手の知恵を借りて進めている印象が強く、前任者である石河政武に比べてその能力に疑問が持たれました。

また、彼の仕事への熱心さは評価される一方で、江戸城からの退出が常に遅く、そのため部下たちは毎日長時間残業を余儀なくされるといった難儀もありました。同僚の久世広民にまで「もうよかろふ」と言われることもあったほどです。

家族と系譜

久通の父は柳生久隆、母は不詳、妻や養子についても詳細は残されていませんが、男子には柳生久知と柳生久包が存在します。

創作に描かれた久通

荒山徹の時代小説『魔岩伝説』では、久通が柳生宗矩のような剣客として描かれています。さらに、内田勝晴の経済小説『家康くんの経済学入門』においては経済通としての姿も見受けられ、様々な視点から彼の人物像が創作されています。

まとめ

柳生久通は、江戸時代の政治と社会の中で数々の役割を担い、多くの人々にその記憶を刻みました。彼の働きかけやその評価は、当時の社会における官僚制度の一端を垣間見ることができる重要な存在となっています。

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