令狐潮

令狐潮（れいこ ちょう）

令狐潮は、唐代に活躍した官僚であり軍人です。生没年は不明です。安史の乱において、反乱軍の安禄山に与し、唐の忠臣である張巡と激戦を繰り広げたことで知られています。

生い立ちと安史の乱勃発

令狐潮は、河朔地方の出身で、若い頃から高尚という人物と親交がありました。高尚は後に安禄山の参謀となります。また、彼は張巡とも旧知の間柄でした。

至徳元載（756年）、安史の乱が勃発すると、雍丘県令であった令狐潮は、雍丘ごと安禄山軍に降伏しようとしました。彼は、救援に来た唐軍を破り、さらに、自分に服従しない民や官吏、捕虜にした兵士たちを処刑しようとしました。しかし、城門が開けられ、張巡と賈賁が雍丘に迎え入れられたため、城内に入れず、妻や子供は捕らえられ処刑されてしまいます。

雍丘攻防戦

安禄山の将となった令狐潮は、李廷望、李懐仙、楊朝宗、謝元同らと共に、4万の兵を率いて雍丘を攻めます。賈賁を討ち取るものの、張巡の激しい抵抗に遭い、何度も敗走を重ねます。旧知の張巡に降伏を勧告しますが、張巡はこれを拒否し、降伏を勧めていた自軍の将を殺害します。

包囲戦は長期化し、食糧を奪われたり、奇襲を受けたりしましたが、令狐潮は包囲を緩めませんでした。張巡の部将である雷万春を負傷させ、再度降伏を勧告するものの、これも拒絶されます。その後も、安禄山軍の将である瞿伯玉、王福徳らとともに雍丘を攻めますが、張巡の抵抗に阻まれ、攻略できませんでした。彼は、雍丘への補給路を断つため、雍丘の北に城を築き、杞州を置きました。

雍丘からの撤退

数ヶ月に及ぶ包囲戦の後、張巡の降伏提案に欺かれ、軍を退いている間に、城の備えを固められてしまいます。馬を奪われ、陣形を立て直す前に攻撃を受け、陳留へ退却します。降伏勧告の使者を送りますが、その使者は張巡に殺害されてしまいます。令狐潮による雍丘への攻撃は、およそ11ヶ月にも及びました。

その後、楊朝宗が寧陵を攻撃したため、張巡は雍丘を放棄し、睢陽で許遠、姚誾らと合流し、寧陵にて楊朝宗を破りました。その後の令狐潮の動向は不明です。

李廷望について

李廷望は、安禄山の側近として知られる人物です。安史の乱勃発後、安禄山に従い、陳留を陥落させ、河南節度使となりました。その後、汴州を占領し、唐軍と交戦しています。また、令狐潮と共に雍丘を包囲しましたが、張巡、雷万春の反撃に遭い、敗走しました。その後の動向は不明です。

伝記資料

『旧唐書』
『新唐書』
* 『資治通鑑』

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