伊作宗久

伊作宗久（いざく むねひさ）

伊作宗久は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての武将で、薩摩国島津氏の分家である伊作氏の二代目当主です。父は伊作久長。

生涯

1317年、父・久長から家督を継承しました。当時の御家人たちは、元寇による出費で困窮し、先祖伝来の土地を売却したり、商人から借金をして生活を立てていました。宗久は、幕府の許可を得て、御家人と商人の間で仲裁を行い、彼らの救済に尽力しました。

1333年、後醍醐天皇が幕府に反旗を翻すと、島津宗家5代当主・島津貞久は倒幕軍に参加し、宗久もこれに同調しました。宗久は貞久と共に九州探題の北条英時を襲撃し、勝利を収めました。しかし、翌年建武の新政が始まると、宗久は恩賞を与えられなかったため、天皇に奏上し、所領を加増されています。

1335年、後醍醐天皇と足利尊氏の間で紛争が勃発すると、貞久は尊氏方につき、宗久もこれに従いました。翌年、尊氏が南朝方に敗れて九州へ落ち延びてくると、島津一族は薩摩・大隅における南朝勢力の討伐を命じられました。宗久は貞久の指揮下で軍功を上げました。その後、尊氏が京都へ侵攻すると、一族と共に従軍し、京都を奪還しました。

1337年、在京していた宗久は、国許の父・久長が南朝方の攻撃を受けたことを知ると、貞久を通じて尊氏に帰国を願い出ました。尊氏の許可を得て、貞久の庶長子である川上頼久と共に帰国し、薩摩南部の南朝勢力討伐を命じられました。

1340年、貞久が帰国し、南朝方の伊集院忠国の攻勢によって占領された地域を奪還していくと、宗久もこれに参加しました。1342年、懐良親王が征西将軍宮として薩摩谷山に到着すると、幕府は宗久に出陣を要請しました。

1346年、伊集院忠国が伊作に侵攻すると、宗久は敗北し、居城に籠城しました。1349年、幕府内で内訌が起こり、尊氏の弟・直義が追放されると、直義の養子で尊氏の庶長子である直冬は身の危険を感じて九州へ潜伏しました。翌年、幕府は宗久に直冬捕縛の命令を下しましたが、幕府内の事態が急変し直義が復帰、直冬が九州探題に就任したため、討伐は中止されました。幕府内の混乱を収めるため尊氏・義詮親子が南朝に降伏すると、貞久・宗久も南朝に帰属し、直冬を攻撃しました。その後、尊氏が再び南朝に背くと、宗久もこれに従い、終始幕府と行動を共にしました。

1354年、宗久は長男・親忠に家督を譲り隠居し、間もなく亡くなりました。

宗久は、鎌倉時代末期から南北朝時代という動乱の時代を、卓越した武勇と情勢判断で生き抜いた武将でした。その生涯は、激動の時代を背景に、武士としての生き様を示すものとして、後世に語り継がれています。

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