伊作教久

伊作教久は、室町時代に活躍した武将であり、薩摩国島津氏の分家である伊作氏の6代目当主です。彼の名にある「教」の字は、当時の室町幕府の将軍であった足利義教から与えられたものと考えられています。

教久の生涯は、一族内部の争いと、それに伴う苦難に満ちたものでした。応永29年（1422年）、教久の祖父であり伊作氏の4代目当主であった伊作久義が、弟の十忠によって殺害されるという事件が起こります。当時、久義と共にいた教久も命の危険にさらされましたが、家臣たちの尽力によって守られ、居城である伊作亀丸城に篭城することになります。

この騒動は、島津宗家の8代目当主であった島津久豊によって、教久の父である勝久が原因であるとされました。その結果、勝久は肥後国へと追放され、教久自身は縁故のある市来氏に預けられることになりました。幼少期から過酷な運命を背負うことになった教久でしたが、永享5年（1433年）、転機が訪れます。島津宗家の9代目当主である島津忠国の弟であり、当時守護代を務めていた用久の命によって、教久は領地を大幅に減らされながらも、伊作への復帰を果たすことができました。

嘉吉2年（1442年）、教久は伊作にて生涯を閉じます。彼の死後、家督は子の犬安丸が継承しましたが、犬安丸も長禄2年（1459年）に急死してしまいます。これにより、伊作氏の家督は一時的に危機に瀕しましたが、島津忠国の三男である久逸が養子として迎え入れられ、伊作氏を継承することになりました。

このように、伊作教久は激動の時代を生き抜き、伊作氏の歴史にその名を刻みました。彼の生涯は、室町時代の武将の置かれた厳しい状況と、その中で一族を維持しようとする人々の葛藤を物語っています。

もう一度検索