伊十三型潜水艦

伊十三型潜水艦について

伊十三型潜水艦は、大日本帝国海軍が建造した潜水艦の艦級であり、特殊攻撃機「晴嵐」を2機搭載可能な「潜水空母」として知られています。正式には巡潜甲型改2（じゅんせんこうがたかいに）とも呼ばれます。

開発の背景

当初、伊四百型[[潜水艦]]の計画が縮小されたことを受け、建造中であった伊九型[[潜水艦]]をベースに、伊四百型[[潜水艦]]の一部代替として改装されました。この改装により、攻撃機「晴嵐」の搭載に必要な飛行機格納庫、射出機、クレーンなどが装備されました。しかし、これらの装備による重量増加を補うため、船体にはバルジが追加され、その結果、甲型仕様に比べて速度面ではやや劣る一方、航続距離は大幅に向上しました。

艦の特徴

伊十三型潜水艦の最大の特徴は、特殊攻撃機「晴嵐」を2機搭載できる点です。これにより、水上艦艇だけでなく、航空機による攻撃も可能となり、潜水艦の作戦範囲を大きく広げることを期待されました。

同型艦

伊十三型潜水艦は、以下の4隻が計画されましたが、実際に竣工したのは2隻のみです。

伊号第十三潜水艦：1944年（昭和19年）12月16日竣工。1945年（昭和20年）7月16日、米軍により撃沈。
伊号第十四潜水艦：1945年（昭和20年）3月14日竣工。終戦まで残存し、戦後米軍に接収。
伊号第十五潜水艦（2代）：1943年（昭和18年）4月30日起工、1944年4月12日進水したが、終戦時に未完成。
伊号第一潜水艦（2代）：1943年（昭和18年）6月24日起工、1944年6月10日進水したが、終戦時に未完成。1945年（昭和20年）9月18日、台風により沈没。

戦歴

伊十三型潜水艦が参加した主な作戦は、「光作戦」です。これはウルシー泊地に在泊する米艦船への攻撃を目的としたもので、伊号第十三潜水艦と伊号第十四潜水艦は、先行して偵察用の艦上偵察機「彩雲」をトラック島へ輸送する任務を担いました。

1945年7月16日、伊号第十三潜水艦は米軍の哨戒網に捕捉され、護衛空母艦載機と水上部隊により撃沈されました。一方、伊号第十四潜水艦は、厳重な警戒態勢の中、輸送任務を成功させ、トラック島へ入港。彩雲を陸揚げし、作戦目標を達成しました。

しかし、終戦により、第一潜水隊攻撃部隊による8月17日予定の攻撃は中止となりました。伊号第十四潜水艦は、トラック島から日本へ帰還する途上、1945年8月27日に米駆逐艦により拿捕されました。

まとめ

伊十三型潜水艦は、その独特な設計と運用により、潜水艦戦術の可能性を広げようとした試みでしたが、戦局の悪化と終戦により、その能力を十分に発揮することはできませんでした。しかし、潜水艦による航空作戦という新しい戦術を追求した艦級として、その歴史的意義は大きいと言えるでしょう。

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』（光人社、1990年） ISBN 4-7698-0462-8
雑誌「丸スペシャル」 日本海軍艦艇シリーズ　第13巻 （潮書房、1977年）

関連項目

伊四百型[[潜水艦]]

外部リンク

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