伊号第三十一潜水艦

伊号第三十一潜水艦（いごうだいさんじゅういちせんすいかん）は、大日本帝国海軍の伊十五型[[潜水艦]]（巡潜乙型）の12番艦として建造されました。当初は伊号第三十七[[潜水艦]]と命名されていましたが、1941年 11月1日に伊号第三十一潜水艦と改名されました。

艦歴

1939年（昭和14年）の第四次海軍軍備補充計画（④計画）に基づき、1939年12月6日に横須賀海軍工廠で起工されました。1941年（昭和16年）3月13日に進水し、1942年（昭和17年）5月30日に竣工しました。竣工と同時に呉鎮守府籍となり、伊32と共に第六艦隊第1潜水戦隊第15潜水隊を編成しました。

1942年8月15日、伊31は呉を出港し、ソロモン諸島南東沖に進出しました。8月25日、サンクリストバル島南東沖で複数の米艦船を発見しましたが、攻撃には至りませんでした。その後、油圧システムの故障により哨戒を中止し、8月30日にトラック島に到着して修理を受けました。

9月6日、伊31はトラック島を出港し、ネンドー島に進出しました。9月11日早朝、同島を航空偵察し、グラシオサ湾に米軍の水上機や水上機母艦が停泊していることを報告しました。その後、浮上して搭載機を収容した後、湾内に潜入し、9月12日未明に砲撃を開始しました。米軍の反撃を受けながらも主砲弾10発を発射しましたが、空薬莢の排出不良により故障が発生、湾を脱出しました。この砲撃でカタリナ2機を破壊したとされています。9月13日にはヴァニコロ島を偵察しましたが、天候不良により偵察は中止、搭載機も着水時に転覆し失われました。その後、伊31はガダルカナル島南東沖で哨戒を行いました。

10月14日、伊31はトラック島を出港し、ガダルカナル島南東沖での哨戒後、フィジー諸島方面へ進出しました。11月4日にはスバ、11月11日にはパゴパゴを偵察し、米軍基地の状況を報告しました。その後、搭載機収容中に米軍機と遭遇するも、発見されることなく飛び去っていきました。11月20日、ショートランドに到着しました。

11月25日、伊31は食糧と弾薬を搭載してショートランドを出港し、カミンボに到着後、再びショートランドへ寄港し、12月2日にトラック島に到着しました。12月22日にはゴム袋入りの食糧を搭載してトラック島を出港、ショートランドを経由してカミンボへ輸送物資を届けました。12月28日には、モノ島南東沖で米潜水艦を発見し魚雷を発射しましたが、命中しませんでした。12月29日にも、米潜水艦グレイバックを発見し攻撃を試みるも、回避されました。12月31日、ショートランドに到着しました。

1943年（昭和18年）1月1日、ショートランドを出港し、トラック島を経由して1月13日に呉に到着、修理を受けました。2月25日、伊31は呉を出港し、幌筵島に到着。その後、輸送物資を搭載してキスカ島へ輸送任務を行い、幌筵島へ帰還しました。3月20日には給油を受け、アガッツ島南方沖で哨戒任務を行いました。4月1日にはアッツ島で弾薬を搭載し、キスカ島へ輸送任務を行った後、幌筵島に帰還しました。

4月14日、伊31は北海守備第2地区隊長とその幕僚を乗せて幌筵島を出港し、アッツ島を経由して幌筵島へ帰還しました。その後も、輸送任務を繰り返し、5月7日に幌筵島を出港、アッツ島へ輸送物資を降ろし、キスカ島へ向かいました。これが、伊31の最後の出撃となりました。

アメリカ側の記録によると、5月12日、米戦艦ペンシルベニア上空を哨戒中のカタリナが、ペンシルベニアへ向かう魚雷を発見し報告しました。ペンシルベニアは回避に成功しましたが、カタリナは魚雷を発射した潜水艦の位置を知らせました。米駆逐艦フェルプスが爆雷攻撃を行うも、撃沈には至りませんでした。その後、米駆逐艦エドワーズとファラガットが捜索と爆雷攻撃を行い、浮上した伊31に対し砲撃を開始しました。砲撃戦の末、伊31は撃沈されました。現場海域には、広範囲にわたって重油が浮遊しているのが確認されました。この戦闘で、艦長の井上規矩少佐以下乗員95名全員が戦死しました。沈没地点は、アッツ島チチャコブ港北東5浬地点付近、北緯52度08分東経177度38分、水深1800mとされています。

1943年 5月14日、伊31はアッツ島付近で亡失と認定され、8月1日に除籍されました。

歴代艦長

艤装員長
（兼）伊豆寿市中佐：1941年12月15日 - 1942年2月5日
新名嘉雄少佐：1942年2月5日 -
井上規矩少佐：1942年3月10日 -
艦長
井上規矩少佐：1942年5月30日 - 1943年5月13日戦死

脚注

参考文献

(Issuu) SS-208, USS GRAYBACK. Historic Naval Ships Association.
雑誌「丸」編集部『写真日本の軍艦第12巻潜水艦』光人社、1990年。ISBN 4-7698-0462-8
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。ISBN 4-7698-1246-9
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1

もう一度検索