伊号第三百七十三潜水艦

伊号第三百七十三潜水艦

伊号第三百七十三潜水艦（いごうだいさんびゃくななじゅうさんせんすいかん）は、大日本帝国海軍が建造した潜水艦で、艦級は丁型改（ていがたかい）に分類されます。この艦は輸送任務に特化しており、攻撃用の魚雷発射管を備えていなかったため、潜水中において敵艦に対して攻撃を行うことはできませんでした。1945年4月14日に竣工し、終戦を迎える直前の8月14日には東シナ海でアメリカ潜水艦スパイクフィッシュにより沈没しました。

概要

昭和18年に策定された戦時計画の一環で、この潜水艦は輸送用として7隻が計画され、そのうちの2隻目となります。最初の艦は丁型の最終艦となった伊号第三百七十二潜水艦であり、本艦は基本計画番号S51Cに基づいて唯一完成を見た丁型改（伊373型）です。計画された残りの5隻は、1隻は未成、その他4隻は計画段階で終わったため、実際に建造された丁型改艦は本艦だけとなりました。

本艦は従来の丁型からガソリン搭載量を150トン増加させ、補給搭載物件も合計110トンに拡大しました。しかしこの変更により、航続距離は13ノットで5,000海里と短く、全体的な排水量も約200トン増加しました。また、兵装については、従来の14cm砲に代わって8cm迫撃砲が搭載されました。

艦歴

• - 1944年8月15日: 横須賀海軍工廠にて起工
• - 1944年11月30日: 進水
• - 1945年4月14日: 竣工、直ちにガソリン搭載工事を開始
• - 1945年6月20日: 第6艦隊第15潜水隊に編入
• - 1945年8月9日: 佐世保から台湾への輸送任務に出港
• - 1945年8月14日: 東シナ海でアメリカ潜水艦スパイクフィッシュに捕捉される。日の出前にスパイクフィッシュが魚雷6本を発射し、2本が命中。その結果、伊373は沈没。

この戦闘で艦長以下84名が戦死し、生き残ったのは1名のみでした。この艦は太平洋戦争において最後に戦没した日本の潜水艦として記録されています。

• - 1945年9月15日: 除籍

歴代艦長

• - 射延行雄 大尉: 1945年4月14日から8月14日まで、戦死

同型艦

• - 伊号第三百七十四潜水艦: 1944年10月24日起工、1945年4月17日に工事中止、工程40%で未成

これ以外にも、4隻が建造取り止めとなっています。

参考文献

• - 「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。
• - 外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。

関連項目

• - 伊三百六十一型潜水艦（丁型）
• - 丁型改2潜水艦
• - UボートXIV型

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