UボートXIV型

UボートXIV型：戦場を支えた「乳牛」

UボートXIV型は、第二次世界大戦中にドイツ海軍が運用した潜水艦であり、「ミルヒ・クー（Milchkuh）」、すなわち「乳牛」という愛称で知られています。これは、前線で活動するUボートへ燃料や食料、魚雷といった物資を補給することを目的とした、補給潜水艦としての役割に由来します。

開発と運用

UボートXIV型は、長距離作戦能力を持つIXD型Uボートをベースに設計されました。1941年から1943年にかけて10隻が建造・就役し、Uボート部隊の作戦行動範囲と期間を大幅に拡大することに貢献しました。従来のUボートは、燃料や食料の不足により、魚雷が残っていても作戦を切り上げて帰港せざるを得ない状況に陥ることがありましたが、XIV型の登場により、洋上での補給が可能となり、より長期間の哨戒活動が可能になったのです。

構造と特徴

XIV型は、大量の補給物資を搭載するために大型化されました。これにより、運動性能は低下し、敵に発見されやすくなるという欠点も抱えていました。しかし、その輸送能力はUボート部隊にとって必要不可欠であり、大西洋での作戦を支える重要な役割を果たしました。

性能諸元

全長：67.1m
全幅：6.5m
排水量：水上1,668トン、水中1,932トン
最大速度：水上14.4ノット、水中6.2ノット
水中航続距離：90km(55海里)/4ノット
水上航続距離：20,000km(12,350海里)/10ノット
乗組員：52名
兵装：20mm機関砲×1、37mm対空砲×2、（補給用魚雷×4）

悲劇的な結末

しかし、XIV型は、その大きな船体と低い運動性から、連合国軍にとって格好の標的となりました。その結果、就役した10隻全てが撃沈されるという悲劇的な運命を辿りました。Uボート部隊の生命線を支えた「乳牛」たちは、自らが戦場に散ることとなったのです。

その後

XIV型の後継として、XX型やXIX型といった補給潜水艦の計画も存在しましたが、いずれも建造されることなく終戦を迎えることとなりました。UボートXIV型は、その特異な役割と運命において、第二次世界大戦における潜水艦戦の一つの側面を象徴する存在と言えるでしょう。

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