伊号第三百七十潜水艦

伊号第三百七十潜水艦の歴史

伊号第三百七十潜水艦、略して「伊370潜」は、大日本帝国海軍に所属していた潜水艦であり、伊三百六十一型潜水艦の10番艦にあたります。この艦の設計と建造は1942年に始まり、1943年12月4日に三菱重工業神戸造船所で起工されました。その後、1944年5月26日に進水し、同年9月4日に竣工を迎えました。艦は佐世保鎮守府に所属し、海軍の第十一潜水戦隊に編入されました。

艦歴の概要

艦は1944年11月4日に第七潜水戦隊に配属され、のちに特攻隊である回天を搭載するための改装が行われました。特に伊370潜は、アメリカ軍の硫黄島侵攻に対し、他の潜水艦とともに「回天特別攻撃隊千早隊」を編成しました。具体的には「伊44潜」や「伊368潜」と共同して出撃を行いました。

出撃とその運命

1945年2月21日、伊370潜は大津島基地で回天を5基搭載して出撃しましたが、この任務に戻ることはありませんでした。アメリカ側の記録によると、硫黄島南方沖で米駆逐艦フィネガンが浮上航行中の潜水艦をレーダーで捉えた後、侵入してくる艦に対して攻撃を開始しました。最初はソナーで探知し、ヘッジホッグを投下しましたが、効果は見られませんでした。

続いて、艦が急速に潛航した後、米艦は深度の設定を変えた爆雷を投下しました。その結果、深いところで轟音が響き、まもなく大量の気泡と小さな爆発音が認められ、艦の残骸が海面に浮かんできたことが確認されました。最終的に、乗員として搭乗していた艦長の藤川進大尉をはじめ94名全員が戦没しました。

最後の認定

伊370潜の沈没位置は北緯22度45分、東経141度27分とされ、3月14日には硫黄島付近で沈没したと正式に認定されました。このような艦の歴史は、特攻任務に従事した艦艇の厳しい運命を物語っています。

歴代艦長

• - 藤川進 大尉（1944年9月4日 - 1945年2月26日、戦死）

これらの情報は、当時の艦船に興味を持つ人々にとって貴重な資料となっており、今なお語り継がれる歴史の一部となっています。さらに、この艦に関する詳細な情報は、さまざまな文献や資料に記録されています。特に、『写真 日本の軍艦』や『艦長たちの軍艦史』などの書籍からも、その運命を知ることができます。

参考文献

• - 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。
• - 雑誌「丸」編集部『ハンディ判 日本海軍艦艇写真集20巻』光人社、1998年。
• - 外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。
• - 福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。
• - 小灘利春、片岡紀明『特攻回天戦 回天特攻隊隊長の回想』海人社、2006年。
• - 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書第98巻 潜水艦史』朝雲新聞社。
• - 吉野泰貴『輸送潜水艦伊号第361型列伝　命を繋いだ12隻の航跡』大日本絵画、2020年。

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