伊和都比売神社

伊和都比売神社：航海安全と縁結びの祈りを込めた歴史ある神社

兵庫県赤穂市御崎に鎮座する伊和都比売神社は、古くから人々の信仰を集める式内社です。海に面した立地から、航海安全や縁結びの神様として広く知られています。旧社格は郷社で、地元住民のみならず、多くの参拝者で賑わう、歴史と自然が織りなす魅力的な場所です。

神々への崇敬：御祭神と由緒

主祭神は伊和都比売大神です。この神様については諸説あり、豊受比売大神とする説や、播磨国一宮である伊和坐大名持御魂神社（現在の伊和神社）の大穴牟遅神（オオナムチノカミ）の比売神とする説も存在します。古くは「御崎明神」と呼ばれ、地域の人々から親しまれてきました。

歴史の軌跡：平安時代から現代へ

平安時代の延喜式神名帳には、赤穂郡の3座の筆頭に記載されており、その歴史の古さを物語っています。長らくは海上にある八丁岩という岩礁の上に鎮座していましたが、江戸時代の天和3年（1683年）、浅野長直によって現在の地へと遷座されました。

明治時代には、日露戦争開戦前に勝利祈願のため、東郷平八郎元帥が訪れたという逸話も残されています。このことから、帝国海軍関係者の信仰を集め、戦前までは東郷平八郎元帥をはじめとする連合艦隊司令長官が艦隊を率いて海上より参拝に訪れるなど、海と深く関わりを持つ神社として特別な地位を確立していました。現在でも、航海安全や大漁祈願などのため、船乗りによる海上からの参拝は盛んに行われています。

境内と周辺環境：自然と歴史が調和する空間

境内は、穏やかな海の景色と調和した静謐な空間です。参拝者たちは、神聖な雰囲気の中で祈りを捧げ、日頃の感謝や未来への希望を託します。神社周辺は、赤穂御崎温泉街に位置し、温泉や美しい海岸線、遊歩道など、観光客にも魅力的なスポットが数多くあります。赤穂御崎海岸遊歩道、キラキラ坂、大石名残の松などの観光名所も近く、歴史と自然を満喫できる環境です。周辺には、赤穂御崎温泉、福浦海水浴場、桃井ミュージアム、赤穂市立田淵記念館、兵庫県立赤穂海浜公園、赤穂市立海洋科学館など、様々な施設があります。

アクセスと周辺情報：アクセス方法と周辺の観光情報

電車でのアクセスは、JR赤穂線播州赤穂駅からウエスト神姫バス「御崎／保養センター」方面行きに乗車し、「御崎」バス停下車、徒歩5分です。車でのアクセスも可能です。周辺には、宿泊施設や飲食店なども充実しており、観光の拠点として最適な場所です。

明石郡の伊和都比売神社：同名の神社と論社

興味深い点として、延喜式神名帳には播磨国明石郡にも同名の伊和都比売神社が記載されています。しかし、現在、旧明石郡内には同名の神社は確認されていません。明石市大蔵本町の稲爪神社、稲爪神社の境内摂社の稲爪浜恵比須神社、明石市岬町の伊弉冊神社、明石市材木町の岩屋神社などが、その論社候補として挙げられています。これらの神社との関係性についても、更なる研究が期待されます。

伊和都比売神社は、歴史、信仰、自然が一体となった、訪れる人々に安らぎと活力を与える場所です。航海安全や縁結びを祈願するだけでなく、歴史に触れ、自然を満喫する旅の目的地として、ぜひ一度訪れてみてください。

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