稲爪神社

稲爪神社

兵庫県明石市大蔵本町に鎮座する稲爪神社は、古くは稲妻大明神と呼ばれていました。延喜式神名帳に記載される伊和都比売神社に比定される有力な神社の一つです。旧社格は郷社。

祭神

稲爪神社では、以下の神々が祀られています。

大山祇命（おおやまつみのみこと）
面足命（おもだるのみこと）
惶根命（かしこねのみこと）
伊和都比売命（いわつひめのみこと）
奥津比古命（おきつひこのみこと）
奥津比売命（おきつひめのみこと）
宇留命（うるのみこと）

由緒

神社の創建には、以下のような伝説が伝えられています。

推古天皇の時代、三韓から8千人もの鉄人が日本に攻め入りました。この報を受けた伊予国の豪族、小千（越智）益躬は、故郷である大山祇神社の祭神、大山祇神に戦勝を祈願しました。すると、鉄人たちが明石に上陸した際、稲妻とともに大山祇神が現れ、鉄人の唯一の弱点である足裏を射るよう告げました。この神の啓示に従い、益躬は矢を放ち、見事鉄人を射殺したとされています。

この戦勝に感謝した益躬は、大山祇神が現れた場所に大山祇神社を勧請したのが、稲爪神社の始まりとされています。古くは稲妻大明神と呼ばれていましたが、時を経て「稲爪」という名に変わったと伝えられています。

また、小千益躬の子である武男は、父の霊を祀るために社を建立しました。これが現在の大蔵八幡神社であるとされています。

歴史

稲爪神社は、過去に何度か災禍に見舞われています。

1578年（天正6年）には、高山右近による大蔵谷城攻めの兵火によって社殿が焼失。その後、北方に遷座し、そこを仮宮としました。
1637年（寛永14年）に社殿が再建され、元の場所に戻りました。仮宮があった場所には、明石藩主の松平光重が熊野三社権現を勧請し、熊野皇神社が建立されました。
1977年（昭和52年）には、失火により再び社殿が焼失。しかし、1979年（昭和54年）には再建され、現在に至っています。

摂社

稲爪神社には、以下の摂社が鎮座しています。

稲爪浜恵比須神社：稲爪神社境内に鎮座し、事代主神を祀っています。
大蔵八幡神社：明石市大蔵八幡町に鎮座し、小千益躬を祀っています。創建は小千武男によるもので、かつては越智神社という社名でしたが、1705年（宝永2年）に明石藩主・松平直常によって「穂蓼八幡」と改称されました。江戸時代には周囲を森に囲まれており、東の森では明石藩の大砲訓練が行われていました。
熊野皇神社：明石市東人丸町に鎮座し、熊野三社権現を祀っています。

関連事項

河野氏：小千氏は、後に河野氏を名乗る一族の祖。
予章記：河野氏の歴史を記したとされる書物。

外部リンク

稲爪神社秋祭り調査報告書 (PDF)：神戸学院大学による調査報告書。
* 稲爪神社　夏越祭

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