伊志井寛

伊志井 寛（いしい かん）

伊志井寛（本名：石井清一）は、1901年に東京に生まれた日本の俳優で、舞台や映画界で幅広く活躍しました。彼は旧芸名の竹本津駒太夫での初舞台の後に、俳優としての名を伊志井寛に改名し、長いキャリアの中で多くの作品に出演しました。

来歴と芸歴

伊志井は幼少期に父を亡くし、17歳まで商家で奉公をしていましたが、その後文楽座に入門。彼の舞台人生は1919年に始まりました。徴兵検査をきっかけに一度文楽界を離れ、1922年に松竹蒲田撮影所に入社。ここでは写実的な役者として挑戦し、数多くの映画に脇役として登場しました。その後、帝国キネマや東邦映画製作所でも活動を続けましたが、会社の閉鎖や給料不払いの問題に直面し、波乱の人生を送りました。

1927年、彼は新劇協会に参加し、新劇の主演を果たし、多くの観客の注目を集めるようになります。新派劇にも参加し、特に花柳章太郎との共演で評価が高まりました。1938年には新生新派を結成し、戦後も新派劇団の一員として活躍しました。彼の演技スタイルは多くの人々に愛され、新劇や新派劇での成功を収めました。

映画とテレビでの活躍

伊志井は舞台だけでなく、映画やテレビドラマへの出演にも力を入れていました。特に『カミさんと私』というテレビドラマシリーズで共演した京塚昌子との絡みが好評を博し、視聴者に親しまれました。1967年には紫綬褒章を受章し、演技の才能が広く評価されました。

最晩年と遺産

1972年、明治座での舞台公演中に体調を崩し、肝臓癌のために71歳でこの世を去りました。その活躍は映画『ありがとう』などに反映され、彼の死後も多くの人々の記憶に残ります。伊志井は家族や親族との関係が複雑であり、妻の三升延との間に生まれたのは俳優の石井麗子とフリーアナウンサー石井希和で、また彼は多くの弟子を持っていました。晩年には、遺産をめぐる争いもあったようです。

著書

伊志井は俳優業の傍ら、いくつかの著書も残しています。著名な作品として『裸寛記』と『にこごり抄』があります。彼の人生や演技に対する深い思いがこれらの著作の中に表現されています。

まとめ

伊志井寛は、その才能と努力で日本の演劇界に大きな影響を与え、今もなお彼の作品が多くの人に愛されていることから、彼の功績は永遠に語り継がれることでしょう。

もう一度検索