伊東義益

伊東義益は、戦国時代に日向国で活躍した武将であり、日向伊東氏の第12代当主にあたります。都於郡城を拠点とし、その統治手腕と温厚な人柄で、伊東家の全盛期を築いた人物として知られています。

義益は、庶子として生まれましたが、兄の早世により後継者となり、永禄3年（1560年）に家督を相続しました。父である伊東義祐の後見を受けながら、都於郡城主として伊東家を率い、その勢力を拡大しました。義益は、智勇に優れ、温厚な性格であったため、父以上に家臣や領民から慕われたと伝えられています。また、当主となった後も都於郡に留まり、佐土原城の義祐との間で二頭政治を行い、伊東家の発展に尽力しました。

しかし、永禄12年（1569年）、義益は都於郡の岩崎稲荷に参籠中、病に倒れ、若くしてこの世を去りました。その死を悼み、都於郡城中の人々が剃髪して菩提を弔ったという異例の葬儀が行われたことからも、義益がどれほど人々に慕われていたかが窺えます。

正室には、一条房基の娘である阿喜多を迎えました。これは、伊東氏と敵対関係にあった薩摩藩側の史料『本藩人物誌』によると、伊東大炊介の計らいによるものだとされています。阿喜多との間には、義賢、祐勝、そして伊東祐兵の正室となった阿虎の方という3人の子供をもうけました。

また、義益には、正室以外にも側室がいたという説があります。薩摩藩側の史料『本藩人物誌』によると、野村松綱の妹である福園が、義益の結婚前から側室であったとされています。しかし、一条氏との結婚後に野村家に返され、その後阿喜多の命によって殺害されたというのです。この出来事が、野村氏が天正5年（1577年）の「伊東崩れ」に加担する遠因になったとも記述されています。しかし、伊東氏の系図には側室に関する記述がないため、この話はあくまでも薩摩藩側の史料に基づいたものとして捉えるべきでしょう。同じく薩摩藩側の史料である『鹿児島県旧記雑録拾遺 伊地知季安著作史料集三』の『野村氏系図』にも、福園が義益の側室であったとは書かれていませんが、義益の夫人によって殺害されたことは記されています。

これらの情報から、伊東義益は、戦国時代の日向国において、その治世と人柄で人々を魅了した武将であったことがわかります。彼の死後も、その功績と人徳は語り継がれ、伊東氏の歴史において重要な役割を果たした人物として記憶されています。

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