伊藤眞雄

伊藤眞雄 (いとう まさお)

伊藤眞雄（1878年8月9日 - 1937年10月8日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本の経済学者です。彼は応用経済学を専門とし、兵庫県立神戸高等商業学校の初代校長、大阪商科大学の教授を歴任しました。

生涯

伊藤眞雄は、1878年（明治11年）に新潟県刈羽郡の士族・伊藤男松の長男として、新潟県北蒲原郡新発田町（現在の新発田市）に生まれました。彼の学歴は以下の通りです。

1897年（明治30年）3月：新潟県尋常中学校卒業
1900年（明治33年）7月：第四高等学校卒業
1904年（明治37年）3月：京都帝国大学法科大学政治学科卒業

大学卒業後、伊藤は教育者としての道を歩み始めます。

1904年（明治37年）4月：堺中学校嘱託教授に就任
1905年（明治38年）4月：大阪高等商業学校嘱託教授に就任、9月に同校教諭に就任
1906年（明治39年）3月：堺中学校を退職

1912年（大正元年）9月から1915年（大正4年）2月にかけて、彼はイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスとドイツへ留学し、経済学の研究を深めました。帰国後、大阪高等商業学校教授に就任し、1917年（大正6年）12月には同校校長事務取扱となります。

1926年（大正15年）7月から1927年（昭和2年）11月まで、欧米を視察し、海外の経済研究の動向を把握しました。1928年（昭和3年）7月には大阪商科大学予科教授を兼任、1929年（昭和4年）3月に大阪商科大学教授に就任し、同大学高等商業部教授も兼任しました。同年4月、大阪商科大学を依願退職し、兵庫県立神戸高等商業学校校長事務取扱に就任、8月には兵庫県立神戸高等商業学校初代校長に就任しました。

伊藤は、大阪高等商業学校の大学昇格に尽力し、校長の武田千代三郎と共に奔走しました。彼の欧米の経済研究所の調査は、大学昇格後に付設された経済研究所が、ハーバード大学経済研究所のように実務家に資料を提供するものとなる上で重要な役割を果たしました。

栄典

1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章
1934年（昭和9年）09月01日 - 従四位
1936年（昭和11年）07月07日 - 勲三等瑞宝章

親族

岳父は実業家の田中博。田中は京都電燈第4代社長、京都商工会議所第8代会頭、都ホテル第5代社長などを歴任しました。

著作物

著書

『經濟學通論』（大日本商業学会、1909年）

訳書

『冨』エドウィン・キャナン著、河上肇序、弘文堂書房、1919年

主な論文

「大阪工塲分布槪論」『商業及經濟硏究』第1冊、105-139頁、市立大阪高等商業学校出版部、1916年
「かんなん敎授ノ人口論」『商業及經濟硏究』第2冊、208-224頁、市立大阪高等商業学校出版部、1916年
「英國住居政策ノ由來及ビ住居供給ニ關スル法制」『商業及經濟硏究』第4冊、631-658頁、市立大阪高等商業学校出版部、1916年
「英國ニ於ケル住居改修ニ關スル法制ノ發達」『商業及經濟硏究』第6冊、1020-1043頁、市立大阪高等商業学校出版部、1917年
(他多数)

参考文献

「県立神戸高等商業学校と伊藤眞雄 兵庫県立大学国際商経学部の起源を辿る」『商大論集』第73巻第1号、35-67頁、松山直樹著、兵庫県立大学政策科学研究所、2021年。
「伊藤眞雄」『新潟縣人物誌』43-44頁、三神正僚著、越後会、1918年。
* (他多数)

伊藤眞雄は、教育者、研究者として、日本の経済学の発展に大きく貢献した人物として、その名が記憶されています。

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