伊藤軍兵衛

伊藤軍兵衛の生涯

伊藤軍兵衛（いとうぐんべえ）は、1840年に信濃国松本藩士の家庭に生まれた。彼の本名は祐英（すけひで）であり、文久元年（1861年）5月には、藩主松平光則の参勤交代に従事するために上京しました。生家の影響を受けて、若い頃から政治や国際情勢に対する関心が強かった彼は、後の活動において、その志が存分に発揮されることとなります。

第二次東禅寺事件

伊藤は、文久2年（1862年）5月28日、藩に割り当てられたイギリス公使館の警衛役に取り組むことになります。しかし、彼の父が亡くなり、急遽帰省している最中に自藩からの警護要請が届きました。それを受けて急いで上京し、警護隊に編入されることになりました。

伊藤は自藩が多くの出費を強いられていることに懸念を抱き、また、外国人のために日本人が争うことへの危惧から、一つの決断に至ります。彼は、イギリス公使を暗殺し、藩の警護から解放されることが最も良策であると考え、行動を起こしました。

伊藤は5月29日午前2時ごろ、一刀を帯び槍を持って、江戸城近くにある藩邸を抜け出し、東禅寺に忍び込みます。そして、そこで2名のイギリス人水兵を殺害しました。その後、早朝に藩邸へ戻り、遺書を残して自ら命を絶ちました。享年はわずか23歳でした。

伊藤軍兵衛の死後

その後、伊藤の遺体は幕府の外国掛により東禅寺に移され、外国人の目にさらされた後、北町奉行石谷穆清の元に送られました。最終的に伊藤の遺体は小塚原刑場に遺棄されましたが、その後、儒者の大橋訥庵によって南千住の回向院に埋葬されることとなりました。

家族と子孫

伊藤には、松本藩士の父・伊藤祐宣があり、娘の鑚（たん）は伊藤祐敬に嫁ぎました。祐敬は和算の専門家であり、大蔵省検査院の部長でもありました。彼の兄弟の中には、多くの著名な人物が含まれています。さらに、伊藤の孫・常夫は東京帝国大学を卒業後、鉄道省に勤め、退官後には地方鉄道の取締役を務めました。彼の家族の中には、教育者や事業家、政治家など、さまざまな分野で活躍する人物が多く見られます。

特に、さまざまな業績を持つ曾孫たちは、その後の日本社会においても多彩な影響を与えました。そこには、学者、銀行家、そしてさまざまな業界の経営者が含まれています。

まとめ

伊藤軍兵衛の人生は、短いながらも激動の時代に生きた一人の志士として、日本の近代史にその名を刻みました。その思想や行動は、未だに多くの人々に影響を与え続けています。彼が遺したものは、家族や子孫を通じて、今日の日本の歴史にも引き継がれています。

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