伊豆国神階帳

伊豆国神階帳（いずのくにしんかいちょう）

伊豆国神階帳は、伊豆地方の神々の名を記した国内神名帳です。この資料は、三嶋大社（静岡県三島市）に由来し、伊達家が伝えた写本であり、南北朝時代の康永2年（1343年）12月25日の日付が記されています。この帳簿は、伊豆国での祭祀の理解において特徴的な役割を果たしますが、その信憑性については様々な疑問が提起されています。

収録内容と特徴

この神階帳には計95の神名が記載されていますが、平仮名による表記が多く、他の地域の神名帳とは一線を画しています。特に、平安時代に編纂された『延喜式』神名帳との違いが見受けられます。『延喜式』では「賀茂・那賀・田方」といった順序で神名が並べられていますが、伊豆国神階帳では「田方・那賀・賀茂」と異なる並びになっています。このため、当時の伊豆国の祭祀中心が賀茂郡から田方郡へと移っていた可能性があると指摘されています。

特に田方郡に関わる神々に関しては、『伊豆国神階帳』の冒頭に「正一位三島大明神」から「正一位天満天神」までが並び、神階の順序が統一されていない点が興味深いです。これらは三嶋神の一族神や伊豆国を代表する神として国府の近隣で祀られていたと考えられています。

郡ごとの内訳

『伊豆国神階帳』の各郡による神名の内訳は記載されていますが、田方郡に関しては明確に分類されていないものの、最初に示される「伊豆国三ヶ郡内神明帳事」の下に位置する神々がこの郡に関するものと解釈されています。各神名は、その存在がこの地域の信仰と重要な繋がりを持っていたことを示しています。

参考文献と翻刻資料

この史料に関連する主な翻刻としては、塙保己一編の『群書類従』や鈴鹿連胤による『神社覈録』があります。それぞれ国立国会図書館のデジタルコレクションで入手可能であり、歴史的文献として貴重な情報を提供しています。また、秋山章や萩原正平らによる『増訂豆州志稿』や、三橋健の『国内神名帳の研究 資料編』なども参照に値します。

まとめ

このように、伊豆国神階帳は伊豆地方の神々を詳細に記した貴重な史料ですが、その信憑性には慎重な考慮が必要です。特に、神名の書き方や順序といった点において、地域の歴史や信仰の移り変わりを反映していることが窺えます。研究や信仰の考察において、今後もこの史料は注目され続けることでしょう。

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