国内神名帳

国内神名帳について

国内神名帳（こくないじんみょうちょう）とは、神祇官によって作成された神名帳に対して、各国の国司が管理している管国内の神社やその神名、および神階が記載された帳簿を指します。一般的に「神社帳」とも呼ばれており、神社の管理や祭祀に関する重要な記録となっています。

概要

『日本三代実録』に関連する記録によれば、貞観5年9月25日（863年11月9日）に、太政官が各国に対して神社帳の作成を求め、その写しを式部省に提出するよう命じたことが示されています。このことから、国司の職務には管国内の神社を管理し、祭祀を行う役割が含まれていたことがわかります。そのため、国内の神社を把握するための帳簿や文書は、すでにそれ以前から存在していた可能性が高いと考えられています。

現在では、少なくとも18の国の神名帳が残存しており、群馬県の総社神社（旧上野国）など一部の神社では、国内神名帳自体が神体とされている例も見られます。中世には、これらの神名帳が総社勧請や寺院での法会において神々を招くために用いられていたと考えられます。また、現存する神名帳はほとんどが中世期に書写されたものであり、特に平安時代後期には、総社制や一宮制の影響を受けた加筆や追記が行われたため、古代の状態をそのまま反映したものではない点に注意が必要です。

勧請神名帳

国内神名帳の中には、勧請神名帳として伝わるものも存在します。具体的には、以下のような各地域の神名帳が確認されています：

畿内

• - 和泉国神名帳

東海道

• - 伊勢国神名帳 - 観音寺に伝わる『伊勢国恵日山観音寺神名帳』の一部を改変したものとされる。
• - 尾張国神名帳
• - 参河国神名帳
• - 駿河国神名帳
• - 伊豆国神階帳

東山道

• - 美濃国神名記
• - 上野国神名帳

北陸道

• - 若狭国神階記
• - 越前国惣神分
• - 加賀国神名帳 - 石川郡のみ。

山陰道

• - 丹後国神名帳 - 室尾谷山観音寺に由来する勧請神名帳とされる。
• - 出雲国神名帳
• - 隠州神名帳

山陽道

• - 播磨国内鎮守大小明神社記
• - 美作国一百十二社記
• - 備前国神名帳
• - 安芸国神名帳

南海道

• - 紀伊国神名帳（『国内勧請給大小諸大明神達百九十三社』）
• - 伊予国神名帳（『国内之神名帳』）

西海道

• - 筑後国神名帳 - 現存する最古の国内神名帳の一つ。
• - 大隅国神階記

（対馬国神名帳の存在も伝わるが、現在の所在は不明）

参考文献

• - 内田順子「国内神名帳」『平安時代史事典』（角川書店 1994年）ISBN 978-4-040-31700-7
• - 土橋誠「国内神名帳」『日本歴史大事典 2』（小学館 2000年）ISBN 978-4-09-523002-3

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