鈴鹿連胤

鈴鹿連胤について

鈴鹿連胤（すずか つらたね）は、寛政7年（1795年）に生まれ、明治3年（1871年）に没した、江戸時代末期の神官であり、国学者です。幼名を幸松といい、誠斎、尚褧舎などの号を持ちます。諡号は成功霊神です。

生い立ちと家系

京都の吉田神社の社家に生まれました。父は鈴鹿隆芳、母は左京亮立入経康の娘です。鈴鹿家は、中臣氏を本姓とし、代々吉田家の家老職を務める家柄でした。8歳で父を亡くした後、親族の鈴鹿通益を後見人として、母と祖母に育てられました。

神職としての活動

10歳で神祇権少祐に任官して以来、神祇官の役職を歴任し、1812年からは筑前守を兼任しました。1816年には吉田神社の権祝となり、神職として神社の維持経営に尽力しました。公家の三条実万や柳原光愛、国学者の平田篤胤、狩谷棭斎、屋代弘賢、伴信友、六人部是香らと交流がありました。

国学者、勤王家としての活動

42歳で家督を長男に譲り、吉田家を致仕してからは、『神社覈録』の著述に専念しました。また、勤王家として志士たちを支援し、吉田松陰の『留魂録』にもその名が記されています。天皇陵の荒廃を憂い、戸田忠至、谷森善臣らと協力して、自費で大和や河内の皇陵を踏査しました。吉田神社の社殿再建や、春日祭、神嘗祭といった官祭の再興にも尽力しました。

これらの功績により、1866年には鈴鹿家としては異例の従三位の位を賜りました。

晩年と死

30年の歳月をかけて大著『神社覈録』を脱稿し、神祇官に上進しましたが、その直後の1871年に77歳で亡くなりました。墓所は京都市左京区にあります。

学問への取り組み

幼少の頃から漢学、国学、和歌を学び、蔵書家としても知られていました。頼山陽が『日本外史』を編纂する際に、連胤の蔵書を参考にしたとされています。蔵書は官命により献上されましたが、皇居の火災により焼失しました。

著述

代表的な著作に『神社覈録』があります。このほか、『豊後国図田帳（復刻版）』も著しています。

官歴

鈴鹿連胤は、神祇官において数々の役職を歴任しました。

文化元年（1804年）：神祇権少祐
文化8年（1811年）：従五位上
文化9年（1812年）：筑前守兼任、神祇権大祐
文化13年（1816年）：吉田神社権祝
文政元年（1818年）：卜部に改姓
文政7年（1824年）：中臣に復姓
文政11年（1828年）：卜部に改姓
天保3年（1832年）：中臣に復姓
天保4年（1833年）：神祇権少副
天保9年（1838年）：従四位上
弘化2年（1845年）：卜部に改姓、中臣に復姓
嘉永元年（1848年）：卜部に改姓、中臣に復姓
安政元年（1854年）：正四位下
安政2年（1855年）：吉田神社正祢宜
安政6年（1859年）：吉田神社権預
慶応2年（1866年）：従三位

頻繁に卜部へ改姓しているのは、神祇官において亀卜の任に携わったためです。

鈴鹿家

鈴鹿家の旧宅は、現在、重森三玲庭園美術館として公開されています。主屋は享保年間、書院は寛政年間のものとされ、作庭家の重森三玲が自邸として庭園を造園しました。現在、ツカキグループ社長の塚本喜左衛門が所有しています。

参考文献

宮地直一・佐伯有義監修『神道大辞典 縮刷版』、臨川書店、1969年
『神道人名辞典』神社新報社、1986年
國學院大學日本文化研究所編『神道事典』、弘文堂、1994年
薗田稔・橋本政宣編『神道史大辞典』、吉川弘文館、2004年
鈴鹿連胤『神社覈録（復刻版）』、思文閣出版、1971年

関連項目

大和文華館

外部リンク

* 愛媛大学図書館鈴鹿文庫

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