伊豫稲荷神社

伊豫稲荷神社：歴史と信仰が息づく愛媛の社

愛媛県伊予市に位置する伊豫稲荷神社は、平安時代初期の弘仁年間（810～823年）に伏見稲荷大社の御分霊を勧請して創建された由緒ある神社です。主祭神は宇迦之御魂大神（うかのみたまのおおかみ）で、県社に指定されています。神紋は三つ火焔玉。新四国曼荼羅霊場第49番札所にもなっており、伊予七福神の恵比寿神も祀られていることから、古くから地域の人々の信仰を集めてきました。

歴史の重み：寛永年間から昭和へ

寛永年間（1624～1643年）には、領主である新谷藩および本家筋の大洲藩の祈願所となり、年初や大祭、祈雨祭などには代参が訪れるほど盛況を極めました。正保4年（1647年）頃には、神仏習合の谷上山宝珠院の末院12僧坊が参道にありましたが、神道を主張した星右京太夫によって社僧が追われ、僧坊は廃されました。その後、享保2年（1717年）には正一位の神階を授かり、昭和8年（1933年）には県社に列格するなど、時代とともに発展を遂げてきました。1989年には社殿が再建されています。

境内社と多彩な祭神

伊豫稲荷神社には、数多くの境内社が点在し、それぞれに個性豊かな祭神が祀られています。

新田社、海津見神社、恵比須神社・庚申社、五臓社、久美社・命婦社、田中社・四大社などがあります。特に恵比須神社は伊予七福神の一つとして知られています。五臓社では、天八下魂命（脾神）、天三下魂命（腎神）、天合魂命（心神）、天八百日魂命（肝神）、天八十萬魂命（肺神）という五臓の神々が祀られています。久美社・命婦社には、明治11年（1878年）2月に奉納された狐の尾（宝物館に収納）が祀られています。

境内で見られるもの：言い伝えと文化財

境内には、年に一度だけ大雨の日に小石を産むという伝説を持つ亀石や、子供の泣き声が聞こえるという夜泣き石など、興味深いものが存在します。また、伊豫稲荷神社には数多くの文化財が保管されています。

県指定文化財:
建造物：楼門（付属棟札）、1662年建造

市指定文化財:
絵画：山姥金時の絵
工芸品：錦手大形神酒徳利一対、十錦神酒徳利一対、弓具及び新谷藩旗
古文書：知行安堵状

市指定天然記念物:
藤棚

アクセスと周辺情報

JR予讃線伊予市駅、または伊予鉄道郡中線郡中港駅から約2kmの距離にあります。1月1日から3日までは、松山市駅と郡中港駅から神社まで初詣臨時バスが運行されます。周辺には国道56号や伊予インターチェンジがあります。新四国曼荼羅霊場の札所としては、48番 稱名寺、50番 高昌寺と隣接しています。

まとめ

伊豫稲荷神社は、長い歴史と多くの信仰を集めてきた神社です。境内には歴史的建造物や言い伝えのある石など、見どころが多く、訪れる人の心を掴みます。愛媛県を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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