伊賀国造

伊賀国造（いがのくにのみやつこ・いがこくぞう）

伊賀国造は、古代に伊賀国を支配したとされる地方官です。その歴史は古く、皇族との繋がりや、阿保氏、建部氏といった有力氏族との関わりが知られています。

概要

『先代旧事本紀』「国造本紀」には、伊賀国造に関する記述が見られます。

祖先

伊賀国造の祖先については、複数の説が存在します。

意知別命の子孫説: 『先代旧事本紀』「国造本紀」によれば、成務天皇の時代に、垂仁天皇の皇子である意知別命の3世孫・武伊賀都別命が伊賀国造に任じられたとされます。
息速別命の子孫説: 垂仁天皇の皇子である息速別命を祖とする説もあります。息速別命は病弱であったため皇位継承から外れ、伊賀国に宮室を造って住んだと伝えられています。允恭天皇の時代には、その4世孫である須珍都斗王が阿保姓を与えられました。

氏族

伊賀国造は、主に阿保氏（あぼうじ、姓は君）によって担われました。阿保氏は、一時的に建部（健部）氏を名乗ったこともあります。雄略天皇の時代に意保賀斯が武芸に秀でていたため、武部(健部)と改姓しましたが、延暦3年(784年)に人上が阿保朝臣を賜り、同族が阿保公となりました。また、近江国の小槻氏も貞観年間に改姓していますが、こちらは息速別命の異母兄弟である落別命の末裔とされています。

支配領域

伊賀国造の支配領域は、当時の伊賀国、すなわち後の伊賀国とほぼ同じ領域と考えられています。孝徳天皇の時代には一時的に伊勢国に合併されましたが、天武天皇の時代に再び分割され、伊賀国が設置されました。

本拠

伊賀国造の本拠は、伊賀国伊賀郡阿保村、現在の三重県伊賀市（旧青山町）にあたります。

氏神

伊賀国造の氏神については、明確な記録が残っていません。ただし、阿保には式内社である大村神社が存在します。

子孫

伊賀国造の子孫からは、歴史に名を残す人物が輩出されています。

阿保意保賀斯: 古墳時代の武人で、雄略天皇の時代の国造であり、建部氏の祖とされています。
建部人上: 平安時代の官人で、桓武天皇の時代に大学頭・陰陽頭などを務めました。建部姓から阿保姓に戻っています。

関連項目

国造の一覧

参考文献

『國史大辭典』(吉川弘文館)
坂本太郎・平野邦雄『日本古代氏族人名辞典』(吉川弘文館)
『日本古代人名辭典』(吉川弘文館)
『日本史広辞典』(山川出版社)
『神道大辞典』(臨川書店)

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