伊達宗彰

伊達宗彰（だて むねあき）

伊達宗彰（1905年3月6日 - 1969年11月29日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の華族、政治家、そして実業家です。宇和島伊達家11代当主であり、貴族院侯爵議員を務めました。

生涯

伊達宗彰は、初め彰という名前でしたが、1909年に伯父である伊達宗陳の養子となります。1923年3月10日に養父の死去に伴い家督を相続し、侯爵を襲爵。1925年3月14日には、宗彰に改名しました。1927年に東京帝国大学法学部を卒業後、大蔵省に入省。斎藤実内閣では、内閣総理大臣秘書官の一人として活躍しました。

1935年3月5日、満30歳で貴族院侯爵議員に就任し、火曜会に所属して1947年5月2日の貴族院廃止までその職にありました。大蔵省では、大蔵事務官、大臣官房財政経済調査課長、広島財務局長などを歴任。華族出身でありながら、庶民的で部下思いの人柄で周囲を魅了したと伝えられています。

1945年8月6日、広島への原爆投下の日、伊達宗彰はたまたま財務局に不在だったため難を逃れました。しかし、直後に庁舎へ駆けつけ、職員の救護に尽力。外傷の少ない職員を指揮し、負傷者の看護や移送、遺体の移送・火葬などを行いました。当時、原爆について詳しい知識がなかったため、元気に見えた者が突然亡くなっていく状況に直面し、後年その時のことを深く悔やんだとされています。彼は自ら草履を履き、髪を振り乱しながら、部下の治療や遺体搬送、火葬に奔走しました。その姿に、部下たちは深く感銘を受けたと語っています。

1949年には、宇和島城を宇和島市に寄付。1957年には日本不動産銀行常務取締役、1964年には清水建設相談役などに就任し、実業界でも活躍しました。1967年には、当時の部下たちの手記を集めた「原爆の記」を自費出版。部数が少なかったため、生き残った部下たちが新たな手記と伊達宗彰の思い出を加えて再販しました（「広島財務局原爆被災者の記録　原爆の記」庭山慶一郎編　財団法人大蔵財務協会刊）。

1969年、心筋梗塞により64歳で死去。家督は嫡男である宗禮が継ぎました。

栄典

1937年（昭和12年）5月1日 - 正四位

家族

父：伊達紀隆（1866 - 1944）- 伊達宗徳の三男。陸軍歩兵中佐。
母：伊達智子（1874 - 1949）- 北条氏恭の娘。
養父：伊達宗陳（1860 - 1923）- 実の伯父。貴族院侯爵議員。
妻：松平美智子（1912 - 1972）- 松平慶民の娘。
長男：宗禮（1935 - 2008）- 妻は矢野正子。子に宗信、紀久子。
次男：宗忠（1939 - ）- 妻は庄野美恵子。
長女：素子（1941 - ）- 葛城茂麿伯爵の次男・茂敬の妻。
次女：順子（1944 - ）- 渡辺貞二の妻。
親戚 ‐ 兄・徳真の岳父に吉井幸蔵（吉井勇の父）。

参考文献

霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 下巻』霞会館、1996年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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