伊達宗徳

伊達宗徳：宇和島藩最後の藩主とその波乱に満ちた生涯

伊達宗徳(だてむねのり)は、江戸時代後期の宇和島藩9代(最後)藩主であり、明治時代には華族として活躍した人物です。幼名は扇松丸、別名に紀周(ただちか)、宗周(むねちか)をもち、馨山(けいざん)と号しました。最終的な位階爵位は正二位侯爵に上り詰めました。

宇和島藩主としての歩み

伊達宗徳は、7代藩主伊達宗紀の三男として誕生しました。天保8年(1837年)、従兄にあたる8代藩主伊達宗城の養嗣子となり、安政5年(1858年)、宗城が安政の大獄で隠居処分となったことに伴い、家督を相続することとなります。

藩主となったものの、実権は養父・宗城が握り続けていました。しかし、宗徳は宗城の改革路線を継承し、専売制の強化、西洋式軍制の導入、教育の普及など、数々の改革に尽力しました。これらの改革は一定の成果を収めたものの、宗徳自身は、依然として宗城の大きな影響下に置かれ、お飾りに近い立場にあったとされています。

明治時代の活躍と晩年

明治時代に入ると、華族に列せられ、華族令の施行により伯爵となりました。明治24年(1891年)には、養父・伊達宗城の功績により侯爵に陞爵し、貴族院侯爵議員に就任しました。

明治38年(1905年)11月29日、76歳で生涯を終えました。法号は霊照院殿旧宇和島城主正二位馨山宗徳大居士。墓所は愛媛県宇和島市野川の大隆寺です。

華麗なる一族と広がる系譜

伊達宗徳の系譜は、非常に複雑で、多くの分家や養子縁組が見られます。

父: 伊達宗紀(7代藩主)
母: 吉見氏
養父: [伊達宗城]
正室: 孝子(毛利斉元次女)
継室: 佳子(佐竹義厚長女)

宗徳には多くの兄弟姉妹がいましたが、夭折した者も多く、存命中だったのは宗徳ただ一人でした。また、宗徳自身も多くの子供をもうけました。その中には、能久親王妃富子(島津久光養女)や、陸軍歩兵中佐の伊達紀隆など、歴史に名を遺す人物も含まれています。さらに、宗徳の子孫は、様々な家系に広がりを見せ、その系譜は複雑に絡み合っています。

栄典

明治17年(1884年)7月7日：伯爵
明治33年(1900年)6月20日：従二位
明治38年(1905年)11月28日：正二位

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年

伊達宗徳の生涯は、激動の時代を生き抜いた藩主としての苦悩と、華族としての栄光、そして複雑な家系図に彩られた、ドラマチックな物語といえるでしょう。

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