伊達重村

伊達重村（だて しげむら）

伊達重村は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した大名であり、仙台藩の7代藩主として知られています。伊達氏の23代当主として、激動の時代を生きました。

生涯

寛保2年（1742年）に6代藩主・伊達宗村の次男として生まれました。幼名は儀八郎と名付けられました。長兄の早世により世子となり、元服後には9代将軍・徳川家重から偏諱を授かり、重村と改名しました。

宝暦6年（1756年）、父の死に伴い15歳で家督を相続しますが、若年を理由に幕府から国目付が派遣され、叔父である一関藩主・田村村隆が後見を務めることとなりました。

宝暦疑獄

藩主就任直後から、宝暦の飢饉や藩財政の悪化が深刻化し、家臣団の間で意見が対立します。奉行職の間で対立が激化し、奥山良風ら重臣グループと、柴田成義、遠藤善信を中心とするグループが対立。人事刷新を巡る争いは、老中への直訴騒ぎにまで発展し、最終的に津田定康が改易、葦名盛寿が閉門、奥山良風が逼塞となるなど、大規模な粛清が行われました。

猟官運動

国目付の派遣が終わると、重村は藩政を主導するようになりますが、藩財政の建て直しよりも、自身の官位昇進に奔走します。薩摩藩主・島津重豪に対抗意識を燃やし、多額の資金を幕府要人に贈って官位昇進を働きかけました。領民に献金を強要するなど、藩財政はさらに悪化の一途を辿りました。

鉄銭鋳造

明和5年（1768年）には、幕府から鉄銭の鋳造許可を得ますが、大量の鉄銭が市場に流通したことで貨幣価値が下落し、他領に悪影響を及ぼしたため、一時鋳銭を打ち切られる事態となりました。

安永疑獄

藩財政の悪化は、家臣団の不満を増大させ、奉行衆への批判が高まります。岩谷堂伊達村富らが奉行衆を糾弾し、一時的に奉行を罷免させることに成功しますが、登米伊達村良の訴えにより事態は急転。村富らが失脚し、多くの家臣が処罰されることとなりました。

養賢堂拡充

2度の疑獄事件や猟官運動など、負の側面が目立つ一方で、重村は藩校である養賢堂の拡充に力を注ぎました。医学教育を開始し、校舎を移転・拡充するなど、藩の教育水準向上に貢献しました。

隠居後

寛政2年（1790年）、次男の斉村に家督を譲り隠居しました。寛政8年（1796年）に55歳で死去しました。

人物・逸話

仙台七夕の日取りを7月7日から6日に変更した。
映画「殿、利息でござる！」では、羽生結弦が重村を演じた。

重村の治世は、藩財政の悪化や疑獄事件など、多くの問題を抱えていましたが、藩校の拡充など、文化面での貢献も忘れてはなりません。毀誉褒貶相半ばする人物と言えるでしょう。

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