伊集院忠朗

伊集院忠朗（いじゅういん ただあき）は、生没年不詳の戦国時代の武将であり、島津氏の家臣として活躍しました。大和守の受領名を持ち、孤舟と号しました。伊集院忠公の子として生まれ、島津忠良、貴久父子の二代に仕えました。

忠朗は、天文18年（1549年）の黒川崎の戦いにおいて、その卓越した戦略眼を発揮しました。子の忠倉と共に戦場に赴き、暴風という天候を利用した奇襲策を立案・実行し、肝付兼演を打ち破り降伏させるという大戦果を挙げました。この戦いで見せた奇策は、忠朗の軍略家としての才能を強く印象づけるものでした。

さらに、忠朗は軍事面だけでなく、技術革新にも目を向けていました。天文23年（1554年）の岩剣城攻略戦では、鉄砲を実戦に初めて導入することを進言し、島津軍の戦力増強に貢献しました。この戦いを契機に、鉄砲は島津軍において本格的に使用されるようになり、その後の戦局を大きく左右する要因となりました。これらの功績が認められ、弘治2年（1556年）まで家老として島津氏の政務を統括し、その勢力拡大に大きく貢献しました。

永禄4年（1561年）には、肝付兼続との宴席において、その外交手腕を発揮し、肝付氏との戦端を開くきっかけを作ったという逸話も残っています。これは、忠朗が単なる武将ではなく、優れた政治家、外交官としての側面も持ち合わせていたことを示しています。この時、忠朗は巧みに兼続を挑発し、かねてから領土を奪う機会を窺っていた肝付氏との開戦に持ち込んだと伝えられています。この逸話からも、忠朗の謀略家としての才能が窺えます。

伊集院忠朗の時代において、伊集院氏は島津氏における確固たる地位を築き上げたとされています。その活躍は、軍事面での貢献はもちろんのこと、政治、外交、技術革新といった多岐にわたる分野での才能が結実したものであり、戦国時代における名将の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

系譜
父：伊集院忠公
母：不詳
妻：不詳
男子：伊集院忠倉

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