肝付兼続

肝付兼続（きもつき かねつぐ）

肝付兼続は、戦国時代に大隅地方で勢力を誇った肝付氏の第16代当主です。永正8年（1511年）に、先代当主である肝付兼興の長男として誕生しました。1533年、父の死後、叔父との家督争いを制して当主の座に就きます。

大隅平定と勢力拡大

兼続は、隣国である島津氏との関係を重視し、島津忠良の娘・御南を正室に迎え、妹を忠良の子・島津貴久に嫁がせることで、良好な関係を築こうとしました。その一方で、大隅の平定にも着手し、天文7年（1538年）には高岳城を攻略。これを契機に、大隅のほぼ全域を支配下に置きました。その後も、百引城、平房城、安楽城、逢原城などの諸城を次々と攻略し、肝付氏の勢力拡大に大きく貢献しました。

島津氏との対立と晩年

天文22年（1553年）、兼続は嫡男である良兼に家督を譲り隠居しましたが、その後も実権を握り続けました。しかし、永禄元年（1558年）になると、長年良好な関係を保っていた島津氏との関係が悪化し、兼続は日向の伊東氏と結び島津氏と戦うことになります。永禄4年（1561年）には廻城を奪取し、島津貴久と本格的に敵対。竹原山の戦いでは、貴久の弟・忠将を討ち取る大勝利を収めました。この時、兼続は正室の御南に離縁を迫ったものの、御南は拒否したと伝えられています。

永禄5年（1562年）には、志布志城を攻略し、肝付氏の最大領土を築き上げました。ここに隠居所を構え、隠居生活を送りながらも政治に関わっていたとされます。永禄7年（1564年）には日向福原、永禄9年（1566年）には島津方の北郷時久との戦いに勝利し、福島まで進撃しました。

しかし、同年11月14日、島津貴久の反撃により居城である高山城が落城。兼続の消息は不明となります。一説には、翌15日に隠居城である志布志付近で自害したとも言われていますが、これは後世の郷土史に書かれたもので、肝付氏の史料には自害を明記したものはなく、否定する説も有力です。当時の肝付氏の勢力は、城を落とされたからといって自害するほど弱体化していたわけではないこと、島津氏の史料にも自害の記述がないことが根拠として挙げられます。

系譜

父：肝付兼興
母：島津久盈の娘（島津忠朝の実弟の娘で、養女として嫁ぐ）
正室：御南（島津忠良の長女）
長女：彌姫（禰寝重長の妻）
長男：良兼（17代当主）
次男：兼長（早世）
次女：肝付刑部少輔(入道江月)の妻
三女：頴娃兼有の妻
側室：肝付九郎将監兼好の娘
末子：兼護（19代当主、のち兼道）
三男：兼定（伊集院竹友の養子、討死）
四男：兼樹（伊東家へ）
五男：兼亮（18代当主、のちに追放）
六男：玄宅（僧）

兼続は、大隅の戦国時代を代表する武将の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

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