岩剣城

岩剣城の歴史と概要

岩剣城は、現在の鹿児島県姶良市平松に位置する、中世の山城です。標高210メートルの岩剣山頂に築かれ、その山は「剣の平」とも呼ばれています。姶良市の指定史跡となっており、その歴史的な価値が認められています。

戦国時代の舞台

岩剣城は、島津義久、義弘、歳久の三兄弟が初陣を飾った場所として有名です。また、日本史上初めて鉄砲が実戦で使用された城という説もあります。ただし、鉄砲の使用については異論もあり、諸説が存在します。

築城と祁答院氏の支配

築城時期は不明ですが、薩摩国の国人である祁答院良重によって築かれたと伝えられています。一説には1529年頃とされています。

1532年から1555年の間、祁答院良重は菱刈隆秋や蒲生範清と手を組み、島津貴久に対して反旗を翻しました。1554年、菱刈・蒲生連合軍が島津方の武将、肝付兼演の居城である加治木城を攻撃。これに対し、島津貴久は自身の息子である島津義久、義弘、歳久に岩剣城を攻めさせました。岩剣城は三方を断崖に囲まれた天然の要害であり、祁答院良重もよく守り抜きましたが、救援に来た蒲生範清が島津軍に撃退されると孤立無援の状態に陥ります。最終的には、城に籠もった女性たちが化粧道具を投げてまで応戦したものの、多勢に無勢で良重は本拠地の祁答院へと逃亡し、岩剣城は落城しました。城に残された女性たちは、断崖から身を投じて自害したと伝えられています。

また、岩剣城がなかなか落城しなかったのは、麓にある岩剣神社の加護によるものという伝承もあります。島津軍は神社の御神体を本陣に移し、勝利を祈願したところ、その夜に敵が逃亡し、落城したとされています。

島津氏の支配と平松館

落城後、岩剣城には島津義弘が城代として入城しましたが、その立地の不便さから、麓に平松館を築き、本拠地としました。1564年に飯野城へ拠点を移すまで、この平松館を本拠としていました。義弘が移った後の岩剣城と平松館の状況は不明です。

文禄年間（1593年～1596年）には、義弘の娘で島津朝久の未亡人となった御屋地とその子供が平松館に住んでいました。1606年、義弘は再び平松館を居所としますが、1年後には加治木館へ転居し、岩剣城は実質的に廃城となりました。

平松館は、1737年に島津継豊の弟である忠紀が越前島津家を再興した際に再建され、その居館となりました。その後、明治時代まで使用され、最後の住人は島津久光の子息である珍彦でした。

現在の状況

岩剣城の城跡には、曲輪や空堀などの遺構が良好な状態で残っています。麓の岩剣神社付近から登山道がありますが、整備状況はあまり良くありません。

平松館跡地は現在、姶良市立重富小学校となっており、周囲には当時の石垣が残っています。

まとめ

岩剣城は、その戦略的な立地と歴史的な出来事から、中世の城郭を知る上で重要な場所です。島津氏の歴史や戦国時代の武将たちの足跡を辿る上で、貴重な史跡と言えるでしょう。

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