伊須流岐比古神社

伊須流岐比古神社の概要

伊須流岐比古神社は、石川県鹿島郡中能登町に位置し、石動山山頂（大御前）に建立された神社です。この神社は能登国二宮としても知られ、「伊須留岐比古神社」とも表記されることがあります。

祭神の紹介

この神社に祭られている神々は、主神の伊須流岐比古神（石動彦）と、白山比咩神です。伊須流岐比古神は日本神話の神であり、「肯構泉達録」などの古典にその名が登場します。また、彼は「五社権現」とも呼ばれ、石動権現としても知られています。石動山の古名「いするぎ」、もしくは「ゆするぎ」は、文字通り「石の動く山」を意味し、この言葉は道教や星辰信仰、さらには修験道の影響を受けたものとされています。

その石の鳴動は神の存在と結びつけられ、伊須流岐比古神社はその鳴動を鎮める神社として創建されたと言われています。明治期以降の国家神道の影響で、権現という名称は用いられなくなり、主に伊須流岐比古神または石動彦と呼ばれています。

相殿に祭られている白山比咩神は、実際にはイザナギ・イザナミの象徴ともされています。元々の本地仏としては虚空蔵菩薩（伊須流岐比古神）と十一面観音（白山比咩神）がありました。

歴史的背景

この神社は、古くから漁民と農民の信仰を集めてきた歴史があります。速報的に延喜式の神名帳に記載された「伊須流岐比古神社」として位置づけられ、延喜式に記載された式内社の一つとされます。

『石動山古縁起』によれば、崇神天皇の6年目に方道仙人が開山し、717年に智徳上人が登山、758年には大礼殿が築かれたとされています。さらに、近世初期には林羅山によって記された『新縁起』も、泰澄が開創したとされています。鎌倉時代に入ると、真言宗系の修験道者によって伽藍堂宇が設けられ、神仏習合の「石動寺」として知られるようになり、その規模は院坊360余、約3,000人の信者を抱えるまでに拡大しました。

しかし、南北朝時代には、その信仰心から南朝方に味方したため、地域的な戦乱に巻き込まれ、神社は焼き討ちの憂き目に遭いました。その後、足利将軍家の支えを受けて堂宇が再建され、京都の真言宗勧修寺の末寺となり「天平寺」と称されました。

1582年には、織田信長の家臣により神社は再び焼き討ちにされるなど、様々な逆境に見舞われながらも、1653年には現在の本殿が加賀藩主前田利常の手で建てられ、時を経て「大宮」とも呼ばれるようになりました。

明治や大正時代には神仏分離令により寺号が廃止され、法施行時には多くの伽藍が破壊されましたが、わずかに残された本殿は聖なる日々を支え続けました。大半の坊は移転しましたが、数軒の坊舎は地元住民と共に農耕を行っています。

境内の構造

現在の境内には、本殿（旧大御前本社、1653年）や拝殿（旧御輿堂、1701年）などが存在します。これらは石川県指定の文化財に指定されており、歴史的な価値があります。
また、石動山周辺には、歴史的に有名な礎石や石仏、石碑なども散在し、古社の風情を漂わせています。地元の自治体による発掘調査も進行中で、過去の全容を明らかにするための作業が進められています。

このように、伊須流岐比古神社は誇り高い歴史を持つ場所であり、その多層的な信仰の深みは、多くの訪問者に深い感動を与えています。

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