伏允

伏允の生涯と業績

伏允（ふくいん）は、生年不詳で635年に没した吐谷渾の首長で、歩薩鉢という号を持っていました。彼の統治時代は隋の侵攻によって影響を受けましたが、その後の隋末唐初の不安定な時期に自身の領土を取り戻しました。しかし、最終的には唐の太宗に攻められ、敗れました。

初期の人生

伏允は夸呂の子供として誕生しました。597年に彼の兄、世伏が殺害されると、彼がその後継者となりました。彼は兄の妻である光化公主を妻にするため、隋に使者を送り、文帝から許可を得ました。その結果、吐谷渾は毎年定期的に隋に朝貢し、隋の情勢を観察しようとしましたが、文帝はこの動きを快く思いませんでした。

隋の煬帝が即位すると、伏允は息子の慕容順を隋に送ります。この時、隋を侵攻していた鉄勒に対して煬帝は軍を出し、失败したことから、隋は吐谷渾への攻撃を決定しました。608年には、隋軍が吐谷渾を攻撃し、伏允は敗北を喫し、数十万の民が降伏する事態にまで至りました。吐谷渾の領土は隋の管理下に置かれ、伏允は逃げるように党項へと亡命しました。

再興と唐との関係

隋の衰退に伴い、混乱した状況を利用した伏允は、旧領の回復を試みました。彼は河西回廊を何度も侵攻しましたが、隋の残党軍はこれを防ぐことに成功しました。やがて唐の高祖、李淵が彼に使者を送り、李軌に対抗するための同盟を結ぼうとしました。伏允は自身の軍を整え、李軌を攻撃しましたが、大きな戦果を上げることはできませんでした。

また、高祖からの使者を受け、慕容順の帰国を願った伏允は、これが実現しました。吐谷渾の権力は次第に高まっていきましたが、唐の太宗、李世民が即位すると、関係は微妙に変化していきます。伏允は太宗の使者を拒み、入朝しないことを選択しました。

唐への挑戦と最期

634年には再び兵を起こして、蘭州と廓州を攻撃しました。太宗は早々に軍を派遣しましたが、内部の対立もあって吐谷渾は苦境に立たされます。その後、再び唐軍が進軍し、戦闘が続く中で伏允は自軍の指揮を失い、追い詰められていきました。

635年、太宗は大規模な軍を派遣し、吐谷渾に対して攻撃を行います。伏允は西方に逃走しようとしましたが、最終的には唐軍の追撃を受け、絶望的な状況に陥りました。そして、彼は自ら命を絶ち、伏允の生涯は幕を下ろしました。彼の統治と抵抗は、乱世の中での苦悩と権力の変遷を象徴しています。

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